若手のうちに「トライアンドエラー」を

田端信太郎さん田端信太郎(たばた・しんたろう)
1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。2005年、ライブドア入社、ライブドア事件を経て執行役員メディア事業部長に就任し、ライブドア事件後の経営再生をリード。2010年からコンデナスト・デジタルでカントリーマネージャーに就任。2012年NHN Japan(現LINE)執行役員に就任。その後、上級執行役員法人ビジネス担当として広告事業の責任者となり、2018年2月末にZOZO前澤友作社長(当時)の招聘でLINEを退社し、株式会社ZOZO執行役員コミュニケーションデザイン室長に就任。2019年12月末に退任。現在は、株式会社レバレッジのマーケティング戦略顧問やオンラインサロン「田端大学」の塾長を務める。著者は『これからの会社員の教科書』(SBクリエイティブ)、『ブランドになれ!』(幻冬舎)、『MEDIA MAKERS』(宣伝会議)など。

田端 海外だとどうですか。

岩瀬 スタンフォード大学やハーバード大学で学んだような、知識も経験値もあるアメリカ帰りの中国人が、中国で働いています。昨年、中国EC最大手アリババグループから退き話題になった「ジャック・マーの後見人」と呼ばれた蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏が良い例です。ツァイ氏は台湾生まれですが、アメリカで教育を受けています。そういう人がジャック・マー氏と共にアリババを築き上げたわけですから、まさしく「米中連合」といえるかもしれません。中国の方々は僕らが想像する以上によく働きますし、「先」をいっているんだと感じました。

田端 僕はね、そろそろ居直って、日本の20代のビジネスパーソンに言いたいんです。「働き方改革とかワークライフバランスとかいってると、世界に置いていかれるぞ!」って。おっさんのあおりと思われることは重々承知していますけども、言わせてくださいよ(笑)。

それを聞いて思い出しました。中国に限らず、韓国、台湾の女子学生は驚くほどアグレッシブですよね。「私にこれをやらせてください!」と躊躇なく挙手する姿は、たくましくて頼もしい。

岩瀬 もちろん人それぞれだと思いますが、比較的日本人の若手は、消極的だと感じてしまいます。何かを募集しても、7、8割の若手は手を挙げない印象です。

田端 えーと、9割かな(笑)。

岩瀬 それだけ競合が弱いなら、チャンスだらけという考え方もできますよね。「私にやらせてください」と手を挙げた瞬間、一歩抜きん出るのですから。

田端 上場企業執行役員という立場上、言えなかったのですが、面接官をして常々感じていたのは、日本の高学歴の女子学生ほど、ハングリーさと上昇志向に欠ける気がします。物腰が柔らかくてコミュニケーション能力が高いという点は、素晴らしいんですけどね。その強みをもっと活かして、大きく活躍できると思うんですが…。

岩瀬 ボーイズ改め「ガールズ・ビ・アンビシャス」と。

田端 若手のうちは、できるだけ「トライアンドエラー」をしてほしい。横領でもしない限り、若手はクビにならないので!(笑)。