韓国とイタリアでは同じように2月20日前後に患者が急増している。3月9日にはWHOの数字によれば、両国とも感染者数が7000人を超えている。詳しく述べれば、3月9日はイタリアの感染者数は7375人、死亡者数は366人、韓国は7382人で、死亡者数は51人である。

 つまり、両国においてはここからの経過がまったく異なっており、3月22日現在、イタリアは感染者数が5万3578名、死亡者数は4825人、韓国の感染者数は8697人で、死亡者数は104人にとどまっている。

 感染者数においては国ごとの対応が異なったりする場合や、手洗いなど生活習慣の差などがあろうが、死亡者数に鑑みて一言で言えば、韓国は医療崩壊を免れてピークアウトしたといえよう。

感染者数激増の韓国が
イタリアのようにならなかった理由

 ここで韓国とイタリア、ドイツの医療提供体制において3カ国を比較してみよう。筆者はイタリアについては、現地調査に行ったことがない国なので、もしかしたら誤解があるかもしれないが、すべてデータに基づいて考えてみたい。

 まず特徴は、3カ国とも国民皆保険の国であるということである。イタリアは100%国民皆保険の国であり、ドイツは収入の多い一定層は国の保険に入っていないため国の保険制度への加入は89.4%であるが、その代わりに民間保険に加入することが義務付けられているので実質は100パーセントといっていい。韓国、日本も100%国民皆保険の国である。その点において、同じく感染者数、死亡数が急増しているアメリカとは全く異なる背景を持つ。

 そうなると、比較のポイントとして、病床数(特に重症な患者を扱う急性期病床数)、医師数、そして医療レベル、付随的に、医療費といった視点で評価したい。

◎イタリア、ドイツ、韓国、日本との医療データの比較

4カ国の医療データの比較
※OECDなどのデータを基に筆者作成。急性期病院の比率のみは、2017年のOECDデータによる。韓国の急性期病床の「ー」は約7.5 拡大画像表示

 表を見ていただきたい。

 最初に韓国である。韓国については3月13日前後の各メディアの報道を見ると、「PCR検査を拡大したために感染者数が一気に増えて医療崩壊した」という指摘が目立ったが、それは一時的な現象にとどまり、最終的には医療崩壊を起こさずにピークアウトした。その理由は何か。

 一つはイタリアよりはるかに多い豊富なベッド数である。OECDのデータからはわからなかったが、筆者の過去の調査では、韓国では急性期の医療が中心であり、ベッド数の60%以上は急性期ベッドで、日本とほぼ同じ比率である。急性期病床の占有率(利用率)は10%ほど高いと思われる。その点で病院の余力は少なく、医師数もヨーロッパよりは少ないが、乗り切ることができている。