つまり、英語をツールとして、さまざまな人とコミュニケーションをしたいということだったはずです。そのために磨くべき能力は、いかに相手の英語を間違いなく聴いて、いかに自分の思っていることを正確に伝えるかという実践的なコミュニケーション力です。

 ところが、中学英語をやり直すためにおこなうことは、机に向かって本を読み、文法や単語を一生懸命に覚えることが大半だと思います。いわゆる座学です。それでは、コミュニケーション能力はなかなか向上しません。

 もちろん、私は中学英語をすべて否定しているわけではありません。相手と正確にコミュニケーションをとるには、ある程度の文法の知識と単語力が必要です。そうした力が欠けていると感じている人は、一定の時間をとって文法や単語の勉強をすることも必要でしょう。ただ、あまりそれらにとらわれていると、大切な時間がどんどんとたってしまいます。文法の知識を完璧にしないといけないなどと思っていると、いつまでたっても次に進めません。

 コミュニケーションにとって、それよりも大切なのは、聴く力(リスニング)と話す力(スピーキング)です。ですから、読み書きをしている時間があったら、聴いて話す練習をしてほしいのです。文法や単語というのは、座学ではピンとこなくて覚えられなくても、リスニングやスピーキングといった実践をしているうちに身につくことがよくあるものです。

なぜ世界で活躍するアスリートは流暢に英語が話せるのか

 世界で活躍するサッカーやテニスの日本人アスリートが、流暢な英語を話す場面を、よくテレビで見るようになりました。とくにサッカーでは、ドイツ、スペイン、イタリア、オランダと、各国のリーグを渡り歩く選手になると、インタビューで何カ国語も話しているのを見ます。そんな光景を見ながら、「スポーツで練習をしながら、語学までマスターしてしまうんだから、大変な苦労があるんだろう」と思う人は多いでしょう。

 もちろん、かなりの苦労はあるでしょうが、それだけではないと思います。実は、脳の研究によると、運動がよくできることと語学が堪能であることには関係があるようなのです。語学も運動も、もとをたどれば模倣からはじまります。アスリートならば、走るフォーム、投げるフォーム、跳ぶフォームなど、どれをとっても、もともとは真似からはじまります。最小限のエネルギーで最高の結果を出すには、人間工学的に理想の形を模倣して基礎をつくり、科学的な分析結果を加えていくことで伸びていくわけです。