ところがそのディズニーでさえ、レストランではキャスト(従業員)がゲストからチップをもらっていたのです。アメリカとはいえ、これは衝撃的でした。

 ディズニーは何十年も前から三越と業務提携をしてきました。なぜディズニーが日本の老舗百貨店と組んだかというと、日本的な気づかいを接客の仕組みとして取り入れたかったからだと思うのです。しかし、結果としてそれがうまくいかなかった。

 なぜなら、気づかいというのは文化的なものだからです。これは、日本が古くから培ってきた空気のようなものです。だから、日本に触れたことのない人だとその感覚がわかりません。逆に、日本で育った人であればその感覚は必ず備わっています。

 気づかいの能力というのは、数値化することはできません。言葉では言いあらわせない感覚が、気づかいの能力を左右するのです。

人との関わりのなかで
気づかいは避けて通れない課題

 ディズニーの創業者であるウォルト・ディズニーが実現したかったのはその気づかいのセンス、サービスを超えた気づかいだったのではないか? と私は思っています。

 では、具体的にどんなことが気づかいになるのか? 仕事もプライベートも含めた人生の中で、一個の人間が気づかいとどう向き合っていくのか? 何をどう気づかうべきなのか?

 人と人とが関わっていく中で、気づかいは避けては通れない課題です。

 避けてしまえば避けたままで人生は過ごせるのかもしれませんが、せっかく日本という国に生まれたのだから、この能力を眠らせたままにするのは惜しいと思うのです。

 もちろん、私も決して完璧な人間ではありません。

 だから、「気づかいのできない今の若者がダメだ」とか「古きよき日本に戻ろう」とか、そんなことは言いません。

 ただ、気をつかうことを覚えるとどれだけ楽になるか、生きやすくなるか、仕事がうまく回るようになるか、それだけは肌で感じてきました。本連載では、そんな我が身を振り返りつつ、いい面も悪い面も誠心誠意述べさせていただこうと思います。