もちろん、これは極端な方法で、管理の方法としてはインセンティブを与える中国のようなやり方を取り入れることも可能であろう。

 もう1つは、遺伝子情報を挙げておきたい。

 遺伝子異常には「生まれつきの異常」と「後天的な異常」がある。後天的な異常は、例えばたばこなどをやめることによってある程度個人が管理することもできるが、先天的な異常のリスクはゼロにはできない。例えば、遺伝性の乳がんなどがそれである。アメリカのように「自由」を重視する国ではその判断を個人の「選択」に任せる。

 俳優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、自らの乳房と卵巣を予防的に摘出したのは、この「生まれつきの遺伝子異常」への対策として切断を自ら選択したものである。

 しかし、もし、政府が遺伝子情報を全て入手していれば、例えば、アンジェリーナ・ジョリーさんのような人が「生涯に乳癌(がん)なり卵巣癌を起こす確率が80%である」などという「将来的な発がんリスク」という個人情報さえも知ることができるのである。

 このような方法は、個人に対する「究極の管理」ともいえ、技術的には可能になっている。

政府が
「健康・医療を管理する」ということ

 さて、国の話に戻ろう。政府が「健康・医療を管理する」ということはどういうことだろうか。

 例えば、日本においても一部の保険会社では、健診結果や1日の歩数といった健康行動によって「保険料を安くする」といった商品が売られるようになってきている。

 ただ、これは筆者の感覚では、あくまで「個人の選択」の範囲内であり、「いつのまにか個人が管理されている」という中国のような例とはまったくの別物と思われる。

 しかし例えば、ゴマ信用のように日常生活に完全に浸透している仕組みに、健康行動が入れられたらどうだろうか。

 例えば、毎朝30分太極拳や体操をすると、信用の点数が上がる…などである。

 筆者は民主主義を愛する日本人の一人として、もちろん「過剰な管理」を好むものでもない。