この2300万円にこれから65歳までに貯まる予定の880万円が上乗せされることから、夫が65歳時点の金融資産残高は3180万円になります。ただ、Uさんご一家は車をお持ちのうえ、お住まいのマンションは今後リフォームが必要で、海外旅行も希望されています。これらの支出を、事前に考えておく必要があります。

 自動車は夫の年齢を考えて2回買い替える可能性があり、1回当たり200万円。リフォーム代金はマンション全体の大規模修繕で一時金の負担が発生するとして50万円、お風呂やトイレ、給湯機などの買い替え費用を300万円とします。海外旅行にかかる費用を除くと合計で750万円の負担が発生すると考えられ、それらを差し引くと65歳時点の金融資産の残高は2430万円です。海外旅行の予算はどの程度考えられているのか、また何回くらいを希望されているのかはわかりません。今回の試算では予算100万円を試算に組み入れると、夫が65歳時点での金融資産残高は2330万円になります。

妻も65歳まで働くことで
老後を心配せずに済む状態に

 夫が65歳になった時、Uさんは57歳です。Uさんは何歳まで働かれたいかは記載がありませんが、夫が70歳、つまりUさんは62歳まで現在の仕事を続けるとします。

 夫の年金額については記載がありませんが、現在の収入が年間840万円と高めであることから、月25万円受け取れると仮定します。手取額を21万円として年間252万円、Uさんの収入が90万円とすれば、夫が65歳からの5年間は342万円が世帯の手取り収入になります。

 年間の支出額は65歳まで一時払いを含め486万円としましたが、夫が65歳以降は月30万円、年間360万円、一時的な支出を含めて390万円と仮定しましょう。現在の支出(月48万円)からすれば、かなりの減額と驚かれるかもしれませんが、一般的には30万円でも夫婦2人の生活では多めです。

 一時的な支出を含めて年間390万円とすれば、年間の赤字額は48万円、夫70歳までの5年間では240万円を貯蓄から取り崩すことになります。夫70歳、Uさん62歳の時点で金融資産は2090万円残っている試算になります。

 では、Uさんが62歳になった時点で、仕事は辞めて大丈夫でしょうか、それとも続けるべきでしょうか。年金の繰り上げ受給を請求しない限り、Uさんも65歳にならなければ年金を受け取ることができません。もう3年間、現在の収入90万円で働き続けたとすれば、貯蓄の取り崩し額は3年間で144万円となり、Uさんが65歳時点の金融資産残高は1946万円になります。