沈黙を許容できるかが
演習の成否を決める
「ネット会議ではスキルが判定できない」と思っている人が多いが、実は、スキル判定できる場面が多々あり、それも記録しやすい。私は対面での演習でも、ネット会議での演習でも、「○○さん、発言してください」というように発言者を指名したり、「名簿やリスト順に発言してください」というように発言順を指図したりしない。
その代わり、「どなたでも結構ですので、発言してください」「どなたからでも、話したい方から、話してください」というようにガイドするだけだ。数秒の場合もあれば、1分程度になることもあるが、しばし沈黙の時間があり、その後、発言者が出てくる。
対面だと、参加者同士が顔を見合わせて、あうんの呼吸で発言者が決まったりすることがあるが、ビデオ会議だとそれもない。個々の能動性や迅速性がいっそう試される場面だ。トレーナーがしびれを切らして、発言者を指名してしまうと、元のもくあみで、一方通行の研修に逆もどりしてしまう。
ここで、参加者の資質を見極めることもできる。参加者の中で一部の人が発言したり、モデル話法を示すような演習で実施してくれたら、その人は「能動性」が高いということになる。全員が発言する場面で、何番目に発言したかで「迅速性」や、逆に捉えれば「慎重性」が測定できる。
また、「計画実行力」を見極めるやり方もある。事前に、発言するつもりの順番を参加者に自分で決めてもらう。そして、実際に発言した順番の差分を見極めれば、計画を立ててきちんと実行する力があるかどうかを測定できるのだ。ネット会議システムのレコーディング機能やタイマーを用いれば、対面の場合よりも計測は容易になったりする。