加えて、飲食の世界はもともと薄利多売の業界だ。無利子・無担保といっても、終息時期の見えない中で支払い費用のためだけの資金を借りるのには抵抗がある人が多い。店の存続のためにやむを得ないとはいえ、借金を膨らませながら店を再開することの負担は決して小さくない。

 こうした状況を受けて、業界からは政府や自治体にこうした固定費の補助を求める動きが出てきている。飲食店の倒産防止対策として家賃と雇用者の給与の補助を求める署名活動には、開始からわずか1週間ほどで全国から10万人以上の賛同が集まった。

 署名活動の発起人である3つ星レストランHAJIMEのシェフ米田肇氏は、「日本の飲食店はコストパフォーマンスが高く、そのことがインバウンドを呼び込む要因にもなってきた」と指摘する。しかし、裏を返せば、わずかな客数減少でも打撃を受けるギリギリの状態であったともいえる。当然、「売り上げ急減」を数カ月も甘受できる体力はない。

飲食店経営者が予測する
「3カ月」で倒産続出のリスク

 実際、3月後半になるまでは売り上げの減少がほとんど見られなかったという店ですら、「この状態が続けば3カ月が限度」と見る経営者もいる。

「うまくいっている店でも、内部留保は1.5カ月程度といわれています。4月、5月の支払いは貯金を切り崩してなんとか耐えたとしても、6月にはもう厳しい。7月には倒産というところも少なくないと思います」(米田氏)

 先が見えない中で閉店を決めたとしても、そこで「楽になる」わけではない。

「閉店する際も、店舗を原状回復するための工事費用がかかる。契約時に納めた保証金で支払ってもお金は残るかどうか……」(都内で飲食店を経営する男性)

 さらに、飲食店によっては定期借家権契約を結んでいる店もある。こうした場合、契約期間中に借主からの途中解約ができず、閉店しても家賃を支払い続けなければならない可能性もある。

 政府は7日に発表した108兆円規模の緊急経済対策の中で、中小企業に対して雇用調整助成金の助成率を最大9割まで引き上げるほか、売り上げが半減した場合、最大200万円を給付することを発表した。給付は早くて5月の大型連休明けになる見通しだ。合わせて、国内の観光や飲食などの需要喚起を目的とした「Go To キャンペーン」事業に1兆6794億円の予算を計上した。飲食店で使えるクーポン券を発行し、コロナ終息後のⅤ字回復を支援する。

 しかし、終息後まで生き残れる飲食店がどれほどあるか。終わりの見えない自粛が続き、すでに限界を迎えている店も少なくない。

「心臓が止まりそうなときに、擦りむいた所にばんそうこうを、という話をされても困る。“心臓を動かして”くれないと――」

 経営に携わる店舗のうち数店がすでに閉店に追い込まれたという男性は、やり場のない思いを口にした。

 飲食店の延命に残された時間は想像以上に短い。

※編集部追記:「平均賃金の6割以上」と定められているため、企業側が休業手当を下限の「平均賃金の6割」とした場合は実質的に「給与の6割のうちの9割(=54%)」の負担ともいえる構造になっている。(2020年4月14日15:20 ダイヤモンド編集部)