ブルームバーグが8日に実施した調査によると、日本の4〜6月期のGDPは、聞き取りをした17人のエコノミストの予想中央値はマイナス11%程度となったという。しかし、3月30日付けのロイターの報道によると、JPモルガンの米国首席エコノミスト、マイケル・フェローリ氏が示した最新の予想は、米国の第1四半期の国内総生産(GDP)実質成長率がマイナス10%、第2四半期がマイナス25%と、まさに未曽有の落ち込みが予想されている。従って、日本のGDPの落ち込みが11%程度で済むというのは、若干楽観的な予想とも思われる。

 一方、日本ではバブル崩壊から2000年代前半のいわゆる「竹中プラン」を経て多くの企業が再生または淘汰(とうた)された時期から既に15年、リーマン・ショックからも12年近い年月が流れ、企業再生にノウハウがある人材が政・官・財を問わず社会全体から消えつつある。

 そればかりか、第2次安倍政権下における日銀による「異次元」の金融緩和の影響で、銀行は貸出先を求めて審査基準を緩め、PE(プライベート・エクイティ)ファンドやベンチャーキャピタルによる企業の買収価格や想定時価総額もどんどんつり上がっていた。上場企業の株価も日銀や公的年金の買いでどんどん上がっていた。

 金融界は、いわば「行け行けどんどん」しか知らない人材であふれていたと言っても過言ではない。ぬるま湯状態だった日本は、今回のような未曽有の危機を前に立ちすくむしかないのが実情だろう。

待ったなしの資金繰り支援
雇用主を守ることが雇用を守る

 その是非は横に置いて、日本はいまだに「新卒一括採用・年功序列・終身雇用」という日本型の雇用慣行を色濃く残す国だ。ここ20年、人件費の変動費化が叫ばれ、非正規社員が増えたとはいえ、各企業は可能な限り社内の人材を大事にしようとする。そんな日本であるゆえに、今政治が真っ先に動かなければならないのは、間違いなく「企業・個人事業主に対する資金繰り支援」である。雇用主を守ることが雇用を守ることになる。

 政府は、新型コロナウイルス感染症の影響により売り上げが前年同月比で50%以上減少している法人や個人事業主(以下、両方を含めて「企業」と呼ぶ)に対して、法人は200万円、個人事業者などへ100万円を上限に、現金を給付する方針と報道されている。

 しかし、それは何らかの証明書を準備して自ら申請をしなければならないものであるし、それ以前に、それを可能とする法案の成立が4月中ということもあり、支給が開始されるのは早くても5月末か6月になるのではないかと筆者は考える。多くの企業は年度末の仕入れ代金等の支払い期日を4〜5月に迎えるので、それでは間に合わない。加えて、金額も100万~200万円では多くの企業にとっては一時しのぎにしかならないだろう。

 筆者は、わざわざそんな法案を通さなくても直ちにできる支援策が他にあるように思う。

 それは、いわば金融大臣の腹ひとつで実施可能なものだ。少し詳しく説明しよう。

 既に金融庁は昨年12月、長年銀行等(以下「銀行」)の監督に用いられてきた「金融検査マニュアル」を廃止したと発表している。金融検査マニュアルは、バブルが崩壊し、銀行に多額の不良債権が発生していた90年代後半から2000年代前半に、不良債権を的確に把握して信用を回復するために導入された経緯がある。

 すなわち、貸出債権の分類や引き当て(貸倒引当金の計上)に一律の基準を設けて銀行が貸出債権を自己査定し、それを金融庁が検査・監督する仕組みであった。例えば、連続赤字や実態債務超過の企業は原則として機械的に要管理先・破綻懸念先などの不良債権に分類されてきたのである。