ダイヤモンド・プリンセス号から得た
教訓をまとめると…

 ダイヤモンド・プリンセス号の一件は恐ろしい事件だったが、その中でいくつかのことが分かった。

 人口に占める感染者数の比率は急速に上昇するが20%程度で収まり、その9割が軽度で終わる。しかし、5%の人は重症化する。手当をすれば死亡者はその半分以下の2%に抑えられるが、医療崩壊すれば重症化した人は助からない可能性が高い。

 医療崩壊とは、コロナ以外の手当もできなくなるということであるから、他の疾病での死者も激増するだろう。何もしなければ、人口1億2600万人の日本において、新型コロナウイルスだけによっても50万人が死亡し、医療崩壊すれば100万人以上が死亡しかねないということを意味する。

 しかし、感染者の多くが軽症で済むということは、多くが比較的早期に退院するということである。すなわち、新たに感染する人を抑え込むことができれば入院者数は抑えられ、既存の医療体制は維持できるということになる。また、抑え込んでいる間に、医療体制を拡充しておくこともできる。

 中国で奇妙な肺炎が流行していると分かったのが1月後半、ダイヤモンド・プリンセス号から感染者が出て大騒ぎになったのが2月初め。そして、安倍晋三総理がイベントの中止、全国の学校の一斉休校を要請したのが2月26日と27日、習近平主席の来日延期が決定されたのは3月5日である。2月末には、容易ならざる事態が予想されていたのではないだろうか。

 既存の医療体制は必ずしも新型コロナウイルス感染症に適しているものではないので、すぐに対応できないのは仕方がない。しかし、2月末から、PCR検査の拡充や防護服・マスク・手袋・人工呼吸器などの増産体制、感染症に対応するための医師の訓練、病院を棟ごとに感染症に割り当てること、軽症患者のためのホテルの借り上げなどの準備を進めておくことができたのではないだろうか。