日本は制度上、病院が病気のみならず、高齢者のケアも行うというスタイルを取っていた。一時期批判されたが、「社会的入院」のように、高齢者が長期入院して生活を病院の中で行うということもあった。

 もちろん、これは病院の本来の機能からいえば必ずしも適切とはいえず、介護保険が導入され、徐々に改善されつつあった。

病院が
高齢者施設を代替した「特殊性」

 さて、以前の記事『コロナで絶体絶命のイタリアと違い、日本で死者激増の可能性は低い理由』では、日本で医療キャパシティーが多い理由として、日本の病院が十分に効率化されておらず、その途中であるということを指摘させていただいた。

 それと同じことがこの場合も言える。すなわち、病院が高齢者施設の代わりをしているのは「日本の特殊性」ということになる。

 表1を見ていただくと分かるが、海外に比べ、日本は病院以外の高齢者施設が少ない。世界一高齢者の比率が高い国でなぜこれが成り立っていたかというと、病院に高齢者が入院していたからである。すなわち、病院が高齢者施設の代わりをしているのは「日本の特殊性」ということになる。さらにいえば、急速な高齢化に伴い高齢者施設を増やしており、かつ日本の医療保険制度や介護保険制度を見習っている韓国でも同じように、病院が高齢者施設を代替している。ちなみに韓国も日本と同様、人口当たりの死亡者数が少ない。

 もちろん、在宅医療にシフトするという話もあるが、高齢者が病院に入院していないことの欠点は何であろうか。今回の新型コロナウイルスの感染爆発でわかるように、やはり、海外のように介護者中心でケアをしていると、感染症対策はおろそかになりがちだ。アメリカなどではスキルドナーシングホームといわれる高齢者施設には、医師や看護師はある程度関与するが、通常の高齢者施設であるナーシングホームなどへの関与は少ない。

 ここで、なぜ日本の病院の機能が諸外国と異なっているのか、病院の歴史から考えよう。

 病院(ホスピタル)の語源は「ホスピタリティー」であり、さらにこのホスピタリティーの語源は巡礼者に対してサポートを行っていた「ホスピス」から始まっている。つまり巡礼者が怪我や病気をした時のサポートを行う場、急性期の病院機能が中心であった。現在でも「ホスピス」は療養、そこから分化した「ホスピタル」は急性期医療を専門に行っている。ちなみに、日本ではホスピスの数は少ない。