アクティブファンドの選び方

 ここで、アクティブファンドを選ぶ際に気を付けたいポイントを説明します。

 まず、そのファンドの中身は何で、誰がどのような考え方で選定しているか、を理解しましょうということです。ファンドの運用者は誰か、その運用チームの哲学、運用手法、組入銘柄の中身はどういったものかなどを吟味して、あなたの虎の子のお金を預けるに足るクオリティをもった投資信託を選ぶ必要があるでしょう。

 その際に参考になるのが、その運用会社のホームページ、お目当ての投資信託の月次報告書、定期的に行われる報告会などです。そういった機会を利用してできるだけファンドの中に何が入っているのかを理解するようにしましょう。もし、そういったものを見ても中身がイメージすらできないようであれば、そのファンドの購入は控えた方が賢明です。

 そして納得のいくファンドを見つけた後に、そのファンドの手数料をみましょう。運用に対する納得感に対して手数料が安いと感じるのであれば、その投資信託を買うことが正しい選択となるでしょう。やってはいけないことは、とにかく手数料の安さだけでファンドを選ぶことです。結果は他のいろんな買い物と同じで「安物買いの銭失い」となるでしょう。

 それから、もしあなたが本書で述べたような長期投資を行いたいと思っているのなら、絶対に避けるべきことは、証券会社のセールスマンに何に投資するべきかを尋ねることです。それはあたかも床屋にいって「散髪をしたほうがいいですか」と尋ねるようなことと同じです。彼らは彼らが売りたいもの、彼らにとって収益性が高いものを勧めてきます。それはセールスマンの人間性の問題ではなく、証券会社のビジネスモデルだからです。

 ほとんどの日本人が「株式のプロは誰?」という質問に対して「証券会社の人」と答えますが、完全な間違いです。証券会社のセールスマンは株式を売買させるプロであって、運用のプロではありません。あなたに株式や投資信託を売買させることで収益を得るというビジネスモデルである以上、あなたに長期投資を勧める可能性はほぼありません。長期投資されると売買が頻繁には発生しないので、彼らは儲からないのです。

 とはいえ、本当に信頼できるセールスマンもいると思います。そのセールスマンに「あなたが勧める投資信託をあなた自身は買っていますか」と聞いてみましょう。ある意味のリトマス試験紙になるはずです。

参考記事
株主優待目当てで
株を買ってはいけない

アクティブvsインデックス<br />どちらを選ぶべきか?
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社)など