非正規雇用の労働者の
社会保障のあるべき姿とは

 被用者保険の保険料は、雇用主と労働者による労使折半だ。加入者が多くなれば雇用主の負担も増えるので、人件費を抑えたい企業にとって、パートやアルバイトなど短時間労働者への社会保険の適用拡大は鬼門ともいえる。

 だが、労働者が病気やケガを癒やし、再び社会で活動を始めるためには、充実した社会保障は不可欠だ。今回のコロナ騒動は、図らずも短時間労働者のセーフティーネットに大きなほころびがあることをあぶり出し、広く世間に知らしめることになった。

 現在、従業員501人以上の企業で働く短時間労働者は、週20時間以上で、賃金月額8万8000円以上になると、社会保険に加入することになっている。これをさらに拡大し、2022年10月には従業員101人以上、2024年10月には従業員51人以上の企業に適用されるようになる予定だ。

 厚生労働省では、この基準の引き下げによって、新たに65万人が被用者保険に加入すると試算しているが、それでも60万人の被用者が社会保険の網の目からこぼれ落ちてしまう。

 今回は、新型コロナウイルスの発生を受けて、特例的に国が予算を組んで国保に加入する被用者に傷病手当金を支給することになったが、問題の根本は雇用されて働く被用者が社会保険に加入できず、都道府県国保に流れていることにある。

 産業の発展は、労働者の健康と生活の安定の上に成り立つことは、この国の歴史が証明している。すべての労働者が憂いなく働ける社会保障とはどんなものなのか。コロナ対策で行われた特例措置を踏まえて、非正規雇用の被用者の社会保障について、根本的な見直し議論が巻き起こることを期待したい。

(フリーライター 早川幸子)