一方で、今年から開始したのがWEB面接だ。例年であれば、説明会のあとに適性検査(WEBテスト)、グループワーク、先輩行員座談会、対面式の面接の流れで選考が進むが、今年はグループワークと先輩行員座談会がなくなって書類選考に、そして面接は対面からWEBに切り替わった。

 そうした中で、得られた最大のメリットが、地方学生のエントリーが明らかに増えたことだ。これまでは「東京スター銀行」という社名もあり、ほとんどが首都圏の学生だったが、全国どこからでも面接を受けられるようになったことが功を奏したという。

 もちろん、WEB面接によるデメリットも感じている。

 まず、候補者の興味を引くのが難しい点だ。面接とはいえ、企業も学生に選ばれなければならない。そこで重要になるのが、企業がどれだけこちらの熱を伝えられるか、だ。例年であれば、面接官が面接後に「○○さんのここが良かった、ここはもっと調べるといいよ」など、帰り際などにフィードバックしていたというが、ディスプレイ越しではそれも難しい部分がある。

 そこで今年からは、それをフォローするために、人事担当が個別に学生に電話をかけ、疑問などに答える取り組みを始めたという。

「採用プロセスがWEB化する中で、パソコンの画面上だけではわかりにくい組織の雰囲気をどれだけ伝えられるかが勝負になる。そのためにも、企業はよりオープンにならないといけない。現在、候補者専用のページに行員の働き方などをまとめたりしているが、今後はビデオで行員の座談会を行ったり、内定者懇親会もビデオ会議などを使って行うことを検討中だ」(武居氏)

ワタベウェディングは地方学生の応募増加
エントリー数が前年比130%に

 リゾートウエディングを展開するワタベウェディングも、今年からWEB選考を始めた企業の1つだ。昨年や今年2月までに行われた対面式の説明会に参加した学生に対しては、グループディスカッション1回を選考プロセスに含んでいたが、3月のWEB説明会に参加した学生については、コロナの影響を受けてこれを断念したという。

「当社はサービス業であるため、学生から受ける第一印象や共感力を重視しており、グループディスカッションによってこれらを判断してきた。しかし、今年はこれを書類選考に切り替えることにした」(ワタベウェディング人財開発部 越田恵子氏)

 とはいえ、書類選考ではグループディスカッションで見極めたかった要素を補いきれない。そこで、例年グループディスカッションの通過率は50%程度だったところ、書類選考では70%にして、WEB面接に参加してもらう人数を増やした。面接官も倍に増やし、たくさんの学生とWEB面接で会えるようにしたという。