いきなり「あなたの興味は何ですか?」と聞かれても、よほど普段から好奇心旺盛な人でもない限り、なかなか見つけられないじゃないですか。あるいは、「あなたが感じている疑問を挙げてください」と言われると、ちょっと強すぎる感じがして、これもすぐに答えられる人は少ないと思います。

 でも、日常のなかで「ちょっとした違和感」を覚えることは、誰にでもよくあることです。そんな自分なりの違和感を見つけていく。

 それが一つめのアプローチです。違和感に着目することで、自分の興味とか、自分らしい部分につながっていくことはよくあると思います。

 2の「感情を書き留める」は、自分の感情が動いたとき、それをメモしておくだけです。感情というのは、ものすごく自分に正直なので、そこに少し意識を向けてみてください。

 たとえば、泣いてしまったとか、怒りが沸き起こったとか、うれしかったなど、ネガティブでも、ポジティブでも、どんな感情でもいいので、その感情が沸き起こったら書き留めておく

 心が動いたってことは、そこに自分の興味があるのかもしれない。だから、そこに蓋をしたり、隠してしまうのではなくて、書き留めて、ぜひとも深掘りしていてみてください。そうやって掘り下げていくことで、自分の興味に結びつくんじゃないかと思っています。

もう“みんなの意見”に流されない。「自分なりの視点」がある人になる3つの方法

 3の「写真を撮る」は、スマホでいいので写真を撮る。ただそれだけです。

 ただ、普段なんとなく写真を撮るときは「記録として写しておこう」という感じで、つい全体像を意識してしまうことが多いと思うんです。

 でも、ここでは少しだけフォーカスした写真というか、自分が気になったところを「切り取った写真」を撮ってみてください。小野竹喬さんの作品ではないですけど、「ここがいいな」「ここが好き」と感じたところを自分なりに切り取るために写真を撮っておく。すると、そこに「自分らしさ」が出てきます。

――どれも少し意識するだけで、簡単にできる方法で素晴らしいですね。

末永 あらためて考えてみると、この3つに共通しているのは「非効率」ということなのかな、と私は感じています。効率のことを考えれば、違和感に着目したり、感情を書き留めたり、わざわざ写真を撮るなんて、どれも必要ないものなのかもしれません。

 でも、アート思考の授業自体もそうですが、そんな非効率な部分に光を当てることで「自分なりのものの見方」が見えてきます。

 小さな子どもは、そんな「非効率な部分」をたくさん持っていますよね。

 お手本は、まさに小さな子どもだと思っています。