数に強い人の3つの条件

 大きな数字をイメージしやすくするために、全体を小さな数字に縮小してしまうという手法もよく使われる。

 財務省がYouTubeの公式チャンネルで公開している「日本の財政を家計に例えると、借金はいくら?」もその典型である。そこでは、国の1年間の歳入が59・1兆円であり、国債費を除く歳出が74・4兆円、国債費が23・3兆円、公債残高が883兆円であることなどを、月収30万円(手取り)の家計に例えて、月々の生活費が38万円、借金返済が元金分と利息分を合わせて12万円、ローンの残高が5379万円ある状態だと説明している。

 太陽系の大きさを実感するために、太陽を東京ドーム(直径約200メートル)の大きさに縮めてみるのもいいだろう。そうすると地球の直径は長身の男性程度(約180センチメートル)だ。また、太陽が東京ドーム(東京の水道橋)にあるとすれば、地球は東京都の小金井市にある東小金井駅と武蔵小金井駅の中間くらい(約21キロメートル)の位置にある。

 同じ縮尺で考えると、太陽系最大の惑星である木星の直径は7階建てのビルくらい(約20メートル)であり、場所は山梨県の甲斐市にある中央本線竜王駅のあたり(約111キロメートル)。同じく、最も遠い惑星である海王星の直径はマイクロバスくらい(約7メートル)で、場所は山陽新幹線の広島駅に少し届かないくらい(約673キロメートル)である。

 2001年にチェーンメールとして世界中に広まり、日本でも書籍やテレビ番組になるなど一大ブームになった「世界がもし100人の村だったら」もやはり、大きな全体を小さく縮小したが故のわかりやすさがあった。具体的な内容はネット上で簡単に検索できるので、興味のある方はぜひ調べてみてほしい。

 数に強いとは、

(1)数字を比べることができる

(2)数字を作ることができる

(3)数字の意味を知っている

の3つの条件を満たすことである。単位量あたりの大きさを使ったり、全体を小さな数字に縮小したりといった手法を自分のものにすることは、(1)や(2)の資質に直結するだけでなく、(3)の素養を深めることにも繋がる。そうなればあなたは誰からも「数に強い人」だと認められるだろう。

(本原稿は『とてつもない数学』からの抜粋です)