擬陽性の人々をビジネスホテルに2週間隔離するコストは、1人当たり1日5000円×14日=7万円である(2週間ではなくて1週間で良いという説もあるが、2週間としておく。朝日新聞デジタル「コロナ、1週間で感染リスクなし? 隔離2週間は必要か」2020年5月17日)。また、働けなくなっているのだから、平均賃金を年400万円として、1人当たりの働けないコストは400万÷365日×14日=15万円である。ホテル代と合わせて22万×125万人=2750億円である。外出できないが故に働けない、消費できないことのコストが数十兆円であることを考えると、このコストはわずかである。

1億人超の検査は無理
現実的な検査数と自粛の継続

 問題は、先に挙げたように検査に時間がかかるため、1億人超の検査はできないということである。現実的に考えれば、感染の疑いの強い人から検査していくということになる。これは医師の判断で良いだろう。

 さらに感染していないかと自ら考えている人も検査すれば良い。指定感染症にかかった患者の費用は基本的にタダだから、感染者自身の判断では検査を受けられない。自身の判断で検査を受けたい人からは、ビジネスとして十分成立するだけの検査費用を取れば良い。

 同時に、感染したら深刻な事態になりそうな場所、例えば病院や介護施設、そこで働く人々、患者、介護されている人を検査する。これらの人の数を、厚労省の統計から大ざっぱに推計すると300万人余りとなる(注2)

 65歳以上の高齢者となると3000万人以上なので、高齢者や基礎疾患を持っている人は、自ら人との接触を避けてリスクを下げてもらうしかない。もちろん、感染した場合には医師の判断で検査を受けることができる。

 ナイトクラブや接待を伴う飲食店、劇場、スポーツ観戦などには、ある程度自粛を求めるより仕方がない。あるいは、そこに行くためには、メールアドレスと携帯番号を登録しないと入場できないようにする。感染者が出たら濃厚接触者を探すクラスター対策を容易にするためである。

 コロナのまん延を避けるために人との接触を禁ずることは大変なコストを伴う。それよりも、検査によって感染者を積極的に探し出して隔離する方がコストが低い。検査や隔離の体制を整えることが、コロナ禍の損害を最小にする最善策でもある。

注2 厚生労働省の統計によると、医師・歯科医師43万人(「医師・歯科医師・薬剤師統計(2018年)」)、保健師・助産師・看護師・准看護師161万人(「衛生行政報告例の概要(2018年)」)、介護施設数1.3万、要介護者定員数97万人、介護職員は1施設当たり10人程度(常勤換算)(「介護サービス施設・事業所調査の概況(2017年)」)、非常勤の介護職員を含めるために2倍すると、介護職員は20人×1.3万施設で26万人である。これらをすべて足し合わせると327万人となる。これらには多少の重複があると考えられるので本文では300万人とした。