これらの前提のもと、リバランスの効果を見るために、(1)毎月、元の資産配分(株式50%/債券50%)に戻す場合(リバランス有)と、(2)最初に株式50%/債券50%で運用を開始した後は資産配分の調整を一切行わない場合(リバランス無)、そして(3)まったく運用しない場合の三つの資産額の推移を比較してみました。

 そもそもすでに老後の引き出し局面にあるため、三つの場合とも徐々に資産は減っていきます。このケースでは最初に大きく市場が下がったため、当初は(3)の運用しない場合が優位となるのですが、長期的には運用している(1)と(2)の場合のほうが運用しない場合の資産額を上回ります。でも大事な点はそれではありません。(2)のリバランス無では(3)の運用しない場合を上回る資産額まで回復するのに10年9カ月もの時間を要しますが、(1)のリバランス有では8年5カ月となりリバランスの実施によって28カ月も短縮されます。もちろん、8年5カ月も短くはないですが、これは老後に運用しながら引き出すことを始めた瞬間に大暴落が起こるという最悪の事態であり、それであっても8年5カ月待てば運用しない場合よりも有利になる、というのは心強い結果だと思います。

 それにしても、なぜ引き出し局面ではリバランスするほうが有利になるのでしょうか? 引き出し局面において、特に定額で引き出す場合(ここでは毎月8万円の定額)、株式の下落で保有資産が下がると、下がったところで相対的に多くの額を引き出すことになるため、資産額が減少してしまい、その後の市場の急回復について行けません。その状況でリバランスをしないと、成長ドライバーである株式の比率が小さいままとなってしまうため、回復スピードがさらに遅くなってしまうのです。

 このように、老後の引き出し局面において、大きな下落からの回復スピードを速めるためにはリバランスがより重要になります。

資産形成局面ではどうなのか

 次に、今まさに積立投資を開始したばかりの人が、最初の月に株式市場のリターンが▲40%になった場合を考えてみます。結論から言うと、積立投資を始めたばかりで大暴落を経験した場合、大きなダメージを受ける資産がそもそも少ないため、その資産でリバランスをしてもしなくても、あまり大きな差は生じません。リバランス有でも無でも、ともに1年で元本割れを回復しており、差は生じません。