「感じる幸せ」を伸ばすには

 では、この「感じる幸せ」は、どうやったら伸びるのでしょう?

 まず大切なのは、「楽しんだり感じたりすることに、もっと時間を使ってもいいんだ」と許可することです。えっ、そんなこと? と驚かれるかもしれません。ですが、幸せな時間が、いつのまにか「生産性がない」「無駄なもの」として隅に押しやられていることがあるのです。

「自分のために時間を使うのに、なんだか罪悪感がある」ということはないでしょうか。

ふかふかのお布団でお昼寝するのが好き。でも、お昼寝すると「時間を無駄にしてしまった」と罪悪感がある

いつも忙しくて、ゆっくりしたいって思う。でも、いざゆっくりしてみると、「なにか生産性のあることをしなくちゃ」とザワザワしてしまう

 などです。「生産性は?」「誰かの役に立つか」「他者から見てどうか」といった成果の視点が幸せに持ち込まれると、自分のために楽しんだり、ゆっくり感じたりする時間を、まるでいけないもののように感じてしまうのです。

 そんなときは、「これまで、どんなときに幸せを感じたかな。嬉しかったかな」「心を満たされるときって、どんなとき?」と、自分に問いかけてみてください。自分の「幸せな時間」を知ることが、幸せをふやすための第一歩です。

まずは「自分の幸せ」に気づく

 メーカー勤務のTさんは、仕事に追われ、土日も仕事のことばかり考える生活。これではしんどいと少しずつ好きなことをやり始めたものの「これでいいのか?」と不安だったそうです。カウンセリングを通してわかったのは、Tさんは「暮らしと心」が大切、ということでした。これまで、「暮らしを最優先にしてはいけない、もっと仕事すべきでは?」という気持ちがあったそうですが、「暮らしと心を大切にして良いんだ!」と確認できたことで、まずは気持ちが楽になったそうです。

 Tさんは、会社でペットボトルの水を飲むのをやめ、家でお茶を淹れて持っていくようになりました。これまでも仕事そのものを楽しむ工夫はしていたそうですが、働く環境についてもまだ改善できる、と思ったそうです。日本茶好きのTさんは、やがて、お茶を好きな濃さで保つことができるボトルを買って、会社でも日本茶を楽しむように。忙しい職場で、以前はお手洗いに行くことすら遠慮していたといいますが、味わうことを大切にするにつれ、気にならなくなってきたそうです。

 忙しいときも、「やらなくては」という気持ちに巻き込まれるのではなく、「今、“やらなければ!”という気持ちになってるな」と客観視できるようになり、気が楽になったそうです。

 自分の幸せに気づき、「大切にしていいんだ」と思えると、成果や忙しさに振り回されにくくなります。船が錨をおろすかのように、波に揺られても自然体に戻ってこれるのです。

 自分のために感じたり味わったりする時間は、幸せそのもの。もっともっと、自分の幸せを大切にしてくださいね。

(本原稿は『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』武田友紀著の抜粋です。HP「繊細の森」はこちら→https://sensaisan.jp/