鉄道に絡めて理社や地歴の融合的な設問も

 鉄道問題は、理科と社会の融合問題も作りやすい。新丹那トンネルの丹那断層の形式に関連して、伊豆半島のフィリピン海プレートの話につなぎ、理科の知識も問う問題もあった。

 また、一見すると普通の畑が描いてあるが、そこに大きなファンがあることに気付くと、それが茶畑と分かるという問題もあった。解答はもうひとひねりして、地図記号で記せ、となっていたりもする。

 歴史と結び付いた問題も出されている。日本は朝鮮半島の鉄道敷設権を得て、京仁線や京釜線を全通させた後、これらの鉄道を日本陸軍が日露戦争時の軍事輸送で活用したことを尋ねる問題も出ている。近現代史は鉄道抜きには語れない。

 鉄道は近代化の象徴である。イギリスで標準時が設けられたのは、国内の時差が鉄道の運行に支障を来すことを防ぐためでもあった。日本の場合、東京から東北、北海道へと東に鉄道は延びていくが、それに合わせて沿線の町に時計店が増えていった。沿線住民の時間に対する意識の変化は生活の変化をもたらす。

 鉄道好きには男子が多い印象だが、最近では女子校での出題も増加傾向にある。昔に比べ私立女子校に男性教員が増えていることもその一因かもしれない。

 2020年には27年開業予定のリニア中央新幹線に関する出題もあった。すでにちらほら出始めているが、来年以降注意しておきたいのが新橋(汐留)ー横浜(桜木町)間に初めて鉄道が敷設されてから、2022年で150周年となることだろう。

 鉄道のエコな側面に注目した問題も増えそうだ。感染症の世界的な蔓延の背景には環境破壊という要因が少なからず影響している。まだ実験段階だが、架線なし、蓄電池でも走ることができるハイブリッドカーの鉄道版も出てきている。

 新駅開業ということではJR山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ」駅や東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅もある。また東日本大震災から9年を経て、JR常磐線は全線復旧している。