「仕事だから全力投球しろ」は、日本人にしか通用しない

 また、もう1つ特筆すべきことは、グローバルでは「公」がすべての免罪符になるわけではない、ということです。

「役者は親の死に目に会えない」などと言われていましたが、「公」(=仕事)が常に無条件で「私」(=プライベート)に優先されるという前提はグローバルにはありません。むしろ、仕事は「私」が人生を歩むうえでの様々な選択肢の1つという認識です。公私のバランスは人それぞれなのです。

 ですから、「仕事だから全力投球しろ」というのは通用しません。「いかに自分との仕事を楽しくやってくれるか」「いかにここで全力を出してくれるか」という仕掛け作りが求められてきます。よく海外企業で「社員食堂がゴージャスで全部無料」「社内にビリヤード場やスポーツジムを設置」といった例が見受けられるのには、このような精神があるからです。

 このあたりの感覚をどのようにグローバル・モードにシフトしていくか、具体的な方法はその都度紹介していきます。

第一印象でなぜか損する、日本人のもったいなさ
児玉教仁(こだま・のりひと)
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。