6月9日、10日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)においては、3月以降に示された緩和策と実質ゼロ金利政策の維持が決定された。市場参加者が注目していたのは3月のFOMCで公表が見送られた経済見通しであった。
中でも、FOMCメンバーによるFF(フェデラルファンド)金利の見通しには強い関心が寄せられた。2022年末まで実質ゼロ金利が続くという、市場にとってはかなりハト派的に映る見通しが示された。
他方、今次のFOMCでは、米国債の利回りを一定水準以下に抑え込むYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)が決定されるか否かにも注目が集まっていたが、見送られた形だ。
わが国では10年国債利回りをゼロ%程度で推移させるYCCが早くから導入されており、コロナショック後にはRBA(オーストラリア準備銀行)が3年債の利回りを0.25%とするYCCを決定している。
財政拡張で長期金利が上昇しやすい中、FRB(米連邦準備制度理事会)においてもYCCが話題になり始めたが、今回を見る限り、FRBはYCCからかなり距離を置いたようにも思える。