サプライチェーン分散化や物流の集中管理
これだけでは解決しない課題が顕在化

 2009年に新型インフルエンザが流行した際のBCPでは、サプライチェーンという捉え方ではなく、「国内物流」の懸念、つまり多くのドライバーが感染(入院)によって働けなくなり、輸送力が極端に低下する点に焦点が当てられていました。

 しかし2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大下では、国内のドライバーへの影響よりも海外のサプライチェーンの停滞が企業に大きく影を落としました。たとえ日本に送るべき原材料や完成製品が海外の倉庫にあったとしても、港湾で働く日本への輸送船に積み込む作業員が確保できないために船が出せないケースも出ています。

 日本国内だけに目を向ければ、地震や自然災害時には、ある程度被災エリアが限定されるため、国内サプライチェーンの「分散化」や「物流の集中管理」によってリスク対応する方法があります。運送トラックにGPS(全地球測位システム)を搭載し、物流システムの運行状況と製品の位置を把握しながら災害地点を迂回する、事前に輸送計画を変更するなどにより輸送の流れを最適化するという方法が「物流の集中管理」であり、最近のトレンドになっています。

 特別警報などの災害気象情報や地震の被害状況、道路の通行止めなどの情報をリアルタイムで地図上に可視化するシステム(別図参照)を導入し、物流への影響を最小限にするような材料の供給、製造、販売、配送タイミングを柔軟に変更するオペレーションは、日本国内で評価されつつあるBCPの実装手段です。

 ところが今回のコロナ禍では、国内の物流システムには大きな破綻は見られなかったものの、海外サプライチェーンの機能不全の問題がクローズアップされ、サプライチェーンの分散化や物流の集中管理だけでは解決しない課題が顕在化しました。

 モノやサービスが売れない局面から、それらが急速に必要とされる局面へ。回復期のサプライチェーンやBCP行動は、企業の売り上げを左右する重要な経営課題です。そこで、まずは現時点で世界各国におけるコロナの感染状況を見極めながら、サプライチェーンを見直すことから始めましょう。