つまり「夏のマスクの蒸れ感が不快⇒エアリズムの肌着は涼しい⇒エアリズムマスクなら通気性もよくきっと涼しくマスクを着けられる」という連想が消費者に働いたからだろう。

 行動心理学でいうところの「プライミング効果」(あらかじめ受けた刺激で、無意識のうちに次の行動に影響を与える効果)が働いた。

 商品は「投入のタイミング」や「売り方」で、イメージは変わるといわれる。

 ユニクロの夏用マスクも、もたもたしていたら、水着メーカーなどに先を越されていたかもしれない。しかし、ユニクロは機動的に動いた。だからこそ話題となった。

 例えば、ある家電量販店の社長は液晶テレビが売り出されて間もないころ、欧州の家電量販店を視察した。そこでは日本のメーカーの液晶テレビとともに、韓国のメーカーの液晶テレビが売られていた。

 しかし、家電量販店社長が目にした売り方は「日本のメーカーは律儀にテレビ電波を受信してテレビ番組を放映している。これに対し、韓国メーカーの液晶テレビは、DVDの映像を繰り返し、繰り返し流していた」というものだった。

 電波状態のよくない欧州の国では、日本メーカーのテレビは時々電波が途切れ、映像が乱れていた。しかし韓国のメーカーのテレビはDVDだから映像が安定していた。

 家電量販店社長は「日本のメーカーの製品の方が間違いなく優れているのに、この売り方では台無しだな」と思ったという。

 エアリズムマスクも盛夏に入る前、そして東京・銀座の国内最大級の店舗「UNIQLO TOKYO(ユニクロトウキョウ)」のオープンに合わせたタイミングに投入と、売り方としては絶妙だった。

「いいモノを作れば、売れるはずだ」(大手電機メーカー幹部)という、いまだ日本のメーカーにある意識を、エアリズムマスクは売り方とタイミングで打ち砕いた。

 ところで、なぜユニクロが「エアリズムマスク」でプライミング効果を引き出し、こうした話題作りができたのか。そこには、かつての「ユニクロ野菜」での失敗の教訓が生かされているのではないかと思う。