いくつかの国々のジニ係数、つまり格差の度合いを示す指数を比較しても(図表2)、アメリカが筆頭であり、またイギリス、スペインやイタリアが上位に位置している。

 格差の度合いとコロナウイルスの感染拡大や死者数(特に後者)の間には、一定以上の関連性がうかがわれるのである。

 なぜコロナのような感染症拡大と貧困・格差が深く関わってくるかというと、格差や貧困が大きい国や社会では、おのずと貧困層の生活環境がきわめて劣悪となり感染症の温床となるという点がもちろんある。

 しかし同時に注視されるべきは、そのような国や社会では、貧困層の居住地域のみならず、中間層も行き来するような都市の「公共空間の全体」が劣化していき、都市全体に感染症が拡大しやすくなるという点だ。

“米国信仰”を脱する時
日本も格差の大きい国に

 私がアメリカに住んでいた時も、都市の中心部やその近辺に、窓ガラスが破壊されたまま放置されていたり、ごみが散乱したりしているようなスペースがごく普通に存在するのをよく見かけた。それらは細菌やウイルスにとっては“格好のすみか”だろう。

 いつも思ってきたことだが、日本では、経済界にしても霞が関にしてもアカデミズムの一部にしても、“アメリカはよい社会であり、アメリカのモデルを日本に導入するのがよいことだ”と、半ば盲目的に考えている人々が多すぎるのではないだろうか。

“アメリカ信仰”ともいうべき世界観からの脱却が必要なのだ。

 経済格差という点では、先の図2に示されているように、実は日本は先進諸国の中ですでに経済格差が大きいグループに入っている。

 以前には日本はこうした図の左のほうに位置しており、比較的格差の小さいグループに属していた。だが90年代頃から徐々に格差が大きくなり、近年では格差の大きいグループに入っているのである。