運動の内容やタイミングによって
スポーツドリンク類を使い分ける

 また、運動時には、塩分が含まれた飲みもので、水分だけではなく汗で失われた電解質も補給しましょう。汗をかいたときに水分だけを大量にとると、体液が希釈されて起こる低ナトリウム血症を引き起こしてしまう可能性もあるからです。その「塩分が含まれた飲みもの」とは、いわゆるスポーツドリンクなど。それらは、体への吸収のされやすさ(浸透圧)などの違いによって、下記の3つに分類されます。

◆アイソトニック飲料
 平常時の体液と同じ浸透圧の飲料です。塩分のほかに運動中のエネルギーとなる糖質が含まれているため、運動前に飲むのに適しています。ただ、糖質の過剰摂取には注意しましょう。市販品では、「アクエリアス」や「ポカリスエット」がこれにあたります。

◆ハイポトニック飲料
 体液より浸透圧が低いため、アイソトニック飲料と比べてより速やかに水分や電解質が体に吸収される飲料です。加えて、アイソトニック飲料より糖分が少なくカロリーが低いものが多いこともあり、運動中や運動後に飲むのに適しています。「アミノバリュー」「イオンウォーター」などの市販品があります。

◆経口補水液
 ハイポトニック飲料と同様に体液より浸透圧が低く、より脱水状態の改善を目的とした飲料です。そのため、アイソトニック飲料やハイポトニック飲料など、スポーツドリンク類よりも電解質の濃度が高いという特徴があります。大量の汗をかくようなハードな運動中や運動後に脱水状態の改善のために飲むのに適しています。市販品には、「オーエスワン」「アクアソリタ」などがあります。

 熱中症は誰もがかかる可能性のある病気ですが、一方で、しっかりと対策をすれば防ぐことができる病気でもあります。この夏は、日常的にマスクをしていることで水分補給の頻度を減らしてしまい、脱水症状に陥る人が増えることが懸念されます。熱中症のリスクが高まっている状況にあることをしっかりと意識して、例年以上に水分補給、塩分補給などの熱中症対策をしてください。

(管理栄養士、パーソナルトレーナー 西巻草太)