日本国内に出回る投資信託の数は、今や約6000本。これだけたくさんの商品があると、「投資信託で資産運用を始めてみたいけれど、どれを選べばいいかかわからない!」と迷ってしまう人も多いことでしょう。本連載では、最新刊『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』(ダイヤモンド社)を上梓した世界No.1投信評価会社「モーニングスター」トップの朝倉智也氏が、投資信託の賢い選び方をわかりやすくレクチャーします。さあ、あなたも「長期・分散・積立投資」で、人生100年時代の長生きリスクに今から備えましょう!
投信のリターンの成果を決めるのは、
株価が上がったか下がっただけではない
投資で利益を出すには「安く買って高く売る」ことが必要です。このため、多くの人は「投資の成果は、買ったものの価格が上がるか下がるかで決まる」と考えます。
しかし、投信の積立で成績を決めるのは、実は基準価額だけではありません。カギを握るのは口数、つまり「量」なのです。下図をご覧ください。
たとえば、投信の基準価額が1万円のときに100万円を一括投資したとします。
この場合、買えたのは100口で、あとは売却時に基準価額が1万円を超えるかどうか、つまり「価格」だけが投資の成績を左右することになります。
一方、同じ100万円を投資するのでも、定期的に1万円ずつ100回に分けて積立投資をした場合はどうでしょうか?
積立投資なら効率的に量(口数)を増やすことができます。1万円のときは1口、8000円のときは1・25口、7000円のときは1・42口、5000円のときは2口……というように100回に分けて積み立てていって、最終的に150口買えた場合、1口あたりの平均買付価格は6666円となります。
「量」をうまく増やしたことにより、「価格」が6666円以上なら利益が出る状態になるのです。