コロナ禍で期待される生活困窮者自立支援制度だが、そもそもの制度の理念には課題がある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナ禍で期待が高まる
「生活困窮者自立支援制度」

 2020年、日本の社会保障制度の価値が見直されている。コロナ禍によって数多くの人々の生計が危機に瀕し続けているからだ。「自己責任」で備えたり対応したりすることの困難な事態が続く以上は、生活保護をはじめとする社会保障の出番となる。

 もちろん、「この機会に弱者を淘汰する」という方向性も考えられるが、少なくとも現時点では、厚労省で生活困窮者支援を担当する社会・援護局は、そのような方針を採用していないようだ。そもそも、「社会的弱者を淘汰すれば活気に溢れた社会ができる」という考え方は、都市伝説のようなものであり、根拠は確認されていない。

 コロナ禍に際して期待が高まった制度の1つは、生活困窮者自立支援制度、特に唯一の現金給付である「住居確保給付金」だ。失業者や廃業者を対象に、最長9カ月にわたって、生活保護と同等の家賃補助を行う制度である。

 とはいえ、本制度はもともと「現在の比較的少ない給付によって、将来の多額の生活保護費給付を予防する」という意図が透けて見えていた。東京の区部および市部の単身者の場合、最長9カ月にわたって最大約48万円の給付を行うことで、たとえば将来、2年分の生活保護費を節約できるかもしれない。すると、少なく見積もっても250万円程度を“節約”できることとなる。もちろん、結局は生活保護に移行するのでは意味がない。

 このため実際には、「再就職の可能性が高い人々を対象とした求職支援」という色彩が濃厚な制度となっていた。給付継続にあたっては、ハローワークでの求職活動とその報告が必須となっており、報告を怠ると給付を打ち切られる場合もある。

 しかし3月以来、「住居確保給付金」の利用条件の緩和が続いている。まず、失業や廃業は必須条件ではなくなった。正社員の身分が残っていても、もともと収入が不安定なフリーランスであっても、減収が確認できれば対象となる。また、ハローワークでの求職活動とその報告も、必須ではなくなった。