1つ目のメリットは、参入が容易ということだ。「露店経済」は参入・退出が比較的容易な「完全競争」のモデルに似ている。ビルやショッピングセンターの一角に店を構えて店を開くには、初期投資が少なくない。それに対し、屋台は初期投資がそれほど大きくなく、短期間で開業できる。今は政府の後押しもあり、参入が比較的容易になっている。商売がうまくいかなくても、撤退のコストも高くない。

 2つ目のメリットは、高収入も夢ではないということだ。数年前に、中国のネット上で中国式お好み焼き「煎餅(ジエンビン)」の店主が「月に3万元(約45万4800円)稼いでいる」という話が話題になったことがある。「私は1日中働いて月に5000元(約7万5800円)しか稼げないのに」というサラリーマンのネットユーザーから羨望の声が上がった。

 もちろん、すべての屋台が月3万元稼いでいるわけではなく、「腕のいいところ」が前提になる。季節や自身の体調によって商売が左右されるが、うまくいけば、一日数千元稼ぐこともできるので、サラリーマンとして働くより稼げる。

 3つ目のメリットは、競争が活性化することでより良いものを消費者に提供できるということだ。改革開放前の商店やレストランは国営で、消費者は提供される商品やサービスに文句を言っても、彼らの声が反映されることがなかった。

 だが現在は、消費者優位となっており、彼らのニーズは多様化している。それに対応できない生産者、販売者は淘汰される。企業側も「お前が買わなくても、買う人はいくらでもいる」というこれまでの姿勢を改め、消費者の声に耳を傾けている。その結果、今は、パン1つをとってみても、多様化している。以前は高いわりに味はイマイチだったが、今は味もよくなり、高いのにまずいというものは少なくなっている。このように、人々の身近な食品なども多様化が進んでいる。小さい店は小回りが利くので、消費者の多様化したニーズにいち早く対応でき、ニッチな市場で活躍することができる。

競争が激しい新卒者や失業者に
「チャレンジの場」を与える役割

 4つ目のメリットは、求職者が仕事の経験を積むことができるということだ。よく言われることだが、人口が多い中国は優秀な人材も多く、競争が激しい。求人情報を見ると、2~3年以上の経験を応募条件としている企業が少なくない。

 新卒者にとって、経験を積む場を探すのも容易なことではない。失業者が増えている現在、求職者、特に新卒者は経験者との競争に晒されるので、就職活動はさらに厳しさを増す。このことから、「露店経済」は仕事が見つからない新卒者の経験を積む場、経験のある失業者の「再チャレンジ」の準備の場となり得る。

 このように、失業問題を解消したい政策当局、仕事を確保したい求職者にとってプラスとなる「露店経済」は、商品・サービスの多様化をさらに促進し、中国経済の成長の「エンジン」である消費を活性化することができるのだ。