「ばらまき政策」とは
どういう政策か
財政政策を評価する際に、キーワードともいえるのが「ばらまき政策」だ。何が「ばらまき政策」なのかについて、明確な定義があるわけではない。しかし大方のコンセンサスのある定義は、「政策的な意義が明確でなく(あるいは時代に合わなくなっており)、相当規模の財源を使うものの、効果の薄い(あるいは全くない)政策」とでも言えようか。
かつて、昭和の3大バカ査定と言われた、戦艦大和の建造、伊勢湾干拓事業、青函トンネルはすべて公共事業であった。公共事業のばらまきが批判されるようになると、社会保障の分野でのばらまきが始まった。極め付きは、地域振興券とか定額給付金など、現金を直接国民に配る政策である。竹下登総理(当時)が、「ふるさと創生事業」として、全国の市町村に一律1億円をプレゼントしたこともあった。
とりわけ民主党政権になって、3Kと呼ばれる政策がばらまきのやり玉に挙がった。改めて説明することもないが、子ども手当、高校授業料無償化、農業者戸別所得補償制度の三つである。
これらに共通する批判は、財源規模が相当大きいこと(数千億円以上)、給付の基準に所得制限がなかったり、改革を促すインセンティブも欠けており節度がなく、政策効果がそれほど期待されない、という点であった。
予算書に出てこない
歳入のばらまき政策
これまであげた実例は、すべて歳出措置(歳出予算)つまり支出である。一方で、歳入(収入)面でも「ばらまき政策」が存在している。歳入面のばらまき政策というのは、減税措置(税制)のことであるが、予算書に出てこないので、なかなか気が付きにくい。