実際、在香港の大手金融機関から撤退の動きはなく、香港でのビジネスを維持するために国安法への支持を表明するところもあった。一部の投資家がシンガポールなどに資金をシフトしたとしても、多くの金融機関が行う「中国関連」ビジネスをほかの地域で代替することは難しい。

 上述した為替取引の機能については、ASEANなど複数通貨の取引ではシンガポールが優位性を持つが、人民元では香港が圧倒的な強みを持つ。

 実際に、香港とシンガポールの通貨取引量は、英国、米国に次ぐ規模を持つが、人民元だけに限ると香港が30%を占め、世界最大だ(図表3)。

中国への投資の7割
香港市場を経由

 加えて香港は、中国への投資のための拠点という面でも優位性を持つ。

 中国の対内直接投資の72%が香港経由だが、これには経済貿易緊密化協定(CEPA)で香港からの投資への最恵国待遇が付与されていることなどが影響している(図表4)。

 企業の中国進出の際には、香港が中国向け直接投資のゲートウェーという大きな役割を持っている。