IMFによると、海外投資家による中国の証券(株・債券)の保有額は2019年6月時点で1.1兆ドルだが、そのうち株の28%、債券の48%が在香港の投資家によって保有されている。

 香港外の投資家が香港を通じて取引を行った株・債券を含めると、その割合はさらに大きくなる。

 香港には、中国本土とのストック(またはボンド)コネクトという、上海(または深セン)取引所と香港取引所を介した株・債券の相互取引(香港取引所で中国本土株を売り買いできる)制度が存在する。

 中国本土との直接の証券取引ではQFIIやRQFIIと呼ばれる一部の資格を保持する海外機関投資家が利用可能な取引制度もあるが、資本移動に関する当局への報告など煩雑な手続きが必要となるなど問題が多い。

 2014年11月以降に株式について、2017年7月以降は債券についてもコネクトが利用できるようになったことで、一般投資家を含め、中国本土外からの本土内株・債券取引の利便性が大きく改善した。

 なお今年6月29日に新たにウェルスマネジメント・コネクトをテスト実施することも決まり、個人投資家が香港から中国本土内の投資信託などの購入が将来的に可能になるとみられている。

 このように、外資が中国本土と取引するうえでは厳しい資本移動規制が残っているが、香港の機能を使うことで最も効率的に中国本土との金融取引を行うことができる。

 特に近年は資産運用のベンチマークに利用されるMSCIなど代表的な指数で中国本土証券のウエートを高める動きもあり、各国投資家にとっては香港の金融機能は不可欠である。

 司法の独立が脅かされるなどのリスクがあるなかでも、多くの金融機関にとって香港からの撤退という選択は簡単ではない。

中国企業にも魅力
IPOでの調達、上位占める

 一方で国際展開する中国企業にとっても、香港はグローバルマネーの調達の場として非常に魅力的な市場だ。

 中国と関係の深い金融仲介業者や資金の出し手を持つことで、香港市場は中国企業の資金調達に対して高い優位性を持つ。

 実際に、2019年の香港株式市場での新規株式公開(IPO)での資金調達額は401億ドルとなり、世界最大となった(図表5)。

 内訳をみると、アジア市場拡大を目指すベルギーのビール大手バドワイザーなども含まれるが、上位10社のうち8社は中国本土関連の企業となっている。