さらに、米上院が本年5月20日に、米国に上場する外国企業に経営の透明性を求める法案を可決したが、これが香港株式市場の存在感をさらに高めるきっかけになった。

 もともとは米国で上場した中国大手カフェチェーン瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)の不正会計を発端とした法案だが、検査拒否や情報開示不十分の場合は米国上場廃止につながる可能性があるなど、米国に上場する中国企業全体で懸念が強まっている。

 過去、グローバル展開を目指す多くの中国企業が米国で株式を上場したが、今は米国と香港に重複上場して米国で上場廃止になった場合に対応できるようにする、ないしは香港のみでの上場を目指すといった動きが加速している。

中国にとって香港金融は
グローバルマネー調達の生命線

 以上のように、国安法成立後も、香港の金融機能は投資家や金融機関にとって中国の為替、株式、債券の取引に欠かせないことは変わらず、中国企業の資金調達においてはむしろ重要性が高まっている。

 中国本土と世界をつなぐ金融アクセスの窓口として他の選択肢がないなかで、香港の重要性は依然として無視できないものと考えられる。

 シンガポールだけでなく、東京などほかのアジアの都市が香港に代わる金融機能を代替するのは簡単ではない。

 まず、ストックコネクトなど香港が持つ中国金融市場の窓口としての機能を導入する必要がある。シンガポールを除けば、投資家を呼び込むには税率の大幅引き下げが必要だが、実行のハードルは高い。

 だがこのことは逆に言えば、これまでいかに中国がグローバルマネーの調達で香港に依存してきたか、ということである。現時点で香港の金融機能は中国のグローバルマネー調達の生命線とも言える。