災害に覆い隠される「貧困」の実態
コロナ禍に襲われた沖縄県はいま
7月の1日から10日までの間に、多様な災厄が日本を襲った。
2日から始まった九州豪雨は現在も続いており、範囲は中部地方まで拡大している。影響の全貌が明らかになるまでには、数週間程度の時間を要しそうだ。豪雨に襲われている地域の中には、2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨の被災地も含まれている。
9日朝には、茨城県南部を震源とする最大震度4の地震が発生している。2011年以来、日本周辺の地震や火山活動は活発化しており、6月25日には千葉県東方沖を震源とする最大震度5の地震が起こったばかりだ。6月には震度4以上の地震が7件発生しており、震源は奄美大島から十勝沖までの日本全国に分布している。
緊急事態宣言が解除されて以降、新型コロナ感染者はジワジワと増加している。自然災害における避難も救助も、新型コロナ以前には考える必要がなかった数々の課題によって、困難化している。
そして当然、天災は貧困をもたらす。天災は、もともと見えにくい貧困を、さらに見えにくくする。しかし、状況の理解を容易にするために留意すべきポイントは、いくつか存在する。
今回は沖縄県を取り上げ、貧困に関連するデータを題材として、見えにくい貧困の実態を読み解いてみよう。沖縄県は貧困の深刻さで知られているが、地域による状況の違いが大きく、日本全国の縮図のような様相を呈している。沖縄県を理解することは、災害下の全国各地を理解するために役立つはずだ。
沖縄県の深刻な貧困状況は、注目を集めやすい。しかし、必ずしもそれがデータに表れるとは限らない。たとえば生活保護率では、大阪府、北海道、高知県に続いて全国第4位である。沖縄県は第1位ではない。