テレワーク下の部下育成ポイント(3)
意識を高める「コーチング」

 部下の意識を高めるには「コーチング」という指導法を使う。コーチングとは問い掛け、考えさせ、相手から答えを引き出す指導法で、カウンセリングに似たイメージだ。自らやるように仕向ける指導法と言ってもよい。

 テレワーク中には、部下の姿を見ることはできない。だからといって、進捗を事細かく確認したり、プレッシャーをかけて面従腹背状態にさせてしまったりすると、育成の実態が把握できなくなる。実践する姿が見えないテレワーク下では特に、「やらせる」のではなく、自らの意思で実践するように仕向けることが大切だ。こうした中で、コーチングは必須指導スキルと言える。しかも、コーチングはビデオ会議システムや電話で行いやすいというメリットもある。

 では、実際のやり方を説明しよう。例えば、先ほどのアポ取り電話をかけさせた後に、一緒に反省会をやるとする。基本的な流れは「状況把握→原因探索→解決策立案→具体化」。例えば、次のような会話になる。

上司「アポ取り電話お疲れさま。やってみて、うまくいったところはどういうところ?」
部下「一応、詰まらずに話せました」
上司「それはよかった。うまくいかなかったところはどういうところ?」
部下「10件やってみて、アポが1件も取れなかったことです」
上司「そうか。原因はなんだと思う?」
部下「会ってみようと思わせるようなメリットが足りなかったのかもしれません」
上司「なるほどね。次にやってみるときにはどんなことをしたらいいと思う?」
部下「もう少し、目的を明確にして話してみます」
上司「それはいいね。具体的にはどんなことを言えばいいかな?」

 このように相手から引き出すことで、自ら実践するように仕向けていく。また、相手から答えを引き出した後で「一つやってみるといいことがあるよ」とアドバイスする、あるいは「どんな支援があるといいかな」と協力を申し出るのも効果的だ。

 そして、コーチングを実践すると、大きな副産物が得られる。それは、部下の状況や考え方がよく分かるということだ。

 これは、若手社員に限らず、相手が中堅、ベテラン社員であっても同様だ。こう考えると、コーチングという指導法は、まさにテレワーク環境向けの指導法である。

「テレワークで部下を育てられる」ことは
上司にとっても大きなメリットに

 以上のように、テレワーク下の部下指導は、事前に明確なゴールを決め、そこに向けてトレーニングで能力を高め、コーチングで意識を高めるというように育成手法を組み合わせて進めることがポイントになる。

 また、テレワーク下では、「気がついたときにアドバイスする」という方法が取りにくいため、意図的に機会を作り、事前に準備をしてから指導に臨む必要がある。これまでに比べ、精神的エネルギーを使うだけでなく、時間も割くことになる。しかし、これからの時代、「テレワーク下で部下を育成できる」というスキルを持っていることは、管理職本人の大きなアドバンテージになる。

 部下が育てば、職場の戦力もアップし、業績の向上につながる。これも、上司にとってのメリットだ。難しいテーマではあるが、「テレワーク下の部下育成」に本腰を入れて取り組んでみてはどうだろう。