人種分離政策は「奴隷から解放された黒人たちを“実質的な奴隷状態”にするために行われた」とも言われているが、この時期に合わせて南軍指導者の像が続々と建てられたのは偶然ではないだろう。奴隷制を存続させようとした彼らの像を公の場所に建てることで、黒人たちを抑圧し、同時に白人優位思想を喧伝しようとしたのは明らかだからである。

 南軍の歴史的遺産を排除しようという動きは、米軍の中にも出てきた。現在、バージニア州、ルイジアナ州、ジョージア州、アラバマ州などにある10カ所の米軍基地は南軍将官にちなんだ名称を使用しているが、エスパー国防長官など軍指導部はこれを変更することに前向きな姿勢を示している。

 また、元軍幹部のデビッド・ペトレイアス氏も、「奴隷制維持を目指した者たちの名称が使用されている軍基地で訓練を行うとは、皮肉なことだ。ブラクストン・ブラックやロバート・E・リーらがインスピレーションを与えられるとは考えられない。この事実を認めることが重要だと考えています」と述べ、名称変更を支持した。

 ところが、トランプ大統領は「偉大な米国の歴史的な遺産の一部だ」とし、軍基地の名称変更を認めない構えを見せている。米軍の規定上は、国防次官が軍施設の名称変更を決定できることになっているが、大統領が反対するなかで、それを実行に移すのは難しいかもしれない。

建国の功労者であるワシントンや
ジェファーソンまで、なぜ標的に?

 奴隷制や人種差別に関する歴史的遺産を排除しようとする運動の情熱は、南軍にとどまらず、建国時代の元大統領やアメリカ大陸の発見者などにも及んでいる。

 6月半ば、オレゴン州ポートランドで、合衆国初代大統領のジョージ・ワシントンや、第3代大統領のトーマス・ジェファーソンの像が引き倒された。その理由は、黒人の奴隷を所有していたからだという。バージニア州で大農園を営んでいたワシントン家は、数百人の奴隷を所有していたとも言われている。