金融マン以外の読者には「壁」の意味が分かりにくいかもしれない。

 現在、グループ会社同士であっても、顧客の同意なしに顧客情報をグループ会社と共有することはできないことになっている。

 ドラマ「半沢直樹」の初回では、証券会社が得た案件の情報が親銀行に漏れたが、現行ルール上では、それは起こってはならないことだ。もっとも、ドラマでよく分かるように、証券会社の社内に親銀行からの出向者がいるような場合に、この「壁」が実質的に機能するのかという問題はもともとある。

ファイアウオールを巡る
銀行・証券両者の言い分とは?

 例えば、銀行の顧客が企業買収のための資金調達を検討しているとしよう。資金の調達には、銀行からの借り入れ、株式や債券の発行など、銀行・証券の両分野にまたがる複数の方法がある。

 銀行は、グループの証券会社とスムーズに連携して総合的なパッケージを提案できる方が顧客企業にとって良いとの言い分を持っている。

 銀行・証券にわが国のような壁がない海外では、ライバルはそのように活動している。そのため、まず競争上、海外業務での規制緩和を求めている。そして国内でも、個別の案件ごとに顧客から情報共有に関する同意を取り付ける必要があるのは手続きが煩雑だと主張する。

 一方、銀行系列ではない独立系の証券会社から見ると、この規制緩和は、銀行系列の証券会社が大きな営業力を一気に手に入れる恐れがある。また、さらに銀行の力(資金力や取引上の企業に対する影響力)をビジネスに使いやすくなるということなので、競争上心配な事態だ。

 銀行・証券の間の業務分野の境界線争いは、「銀・証の垣根問題」などと呼ばれつつ昔から存在したが、久しぶりに表舞台に登場した。さて、今回はどうなるだろうか。