雙葉の校舎(左)の隣には、設立母体の系譜を継ぐ女子修道会がある。1919年の創立以来、7代目校長まではシスターだった

校長人事はその学校が何を目指しているかを端的に示す傾向がある。今回は東京の男女御三家を例に考えてみたい。ミッションスクールと呼ばれるキリスト教主義の私立中高一貫校の中には、校長の確保に苦労する学校もある。その背景の一つには「ミッションコード」の存在もあるという。(ダイヤモンド社教育情報)

東京男女御三家に見るOB・OGの法則

 私立の中高一貫校は大学付属校でもない限り、経営規模はそれほど大きくはない。教職員合わせても数十人と、中小企業のサイズだ。それだけに、現場の責任者である校長の手腕でいかようにも変わりうるだけに、私立校の校長人事はどうしても注目される。

 日本の一般の企業同様、教員から教頭や副校長を経て校長に就任するプロパータイプが過半を占めているのは学校でも変わらない。特に私立校の場合、公立校とは異なり他の学校への異動というものが基本的にない。他校への転職でキャリアアップする教員もいるが、全体的には少ない。

 新興進学校や学校改革によるリニューアルを進めている学校の場合、他校で実績のある校長経験者などをスカウトする例も見られる。その動向が注目される著名な校長も、ここ数年、何人か名前が挙がるようになってきた。

 一方で、伝統校の場合には、自校の教員でなくても卒業生を校長に迎える例が多いようだ。東京の男女御三家を見てみると、男子の3校はいずれも自校の卒業生で、東京大出身者が校長に就いている。

 とはいえ、麻布の前校長で理事の氷上信廣氏は早稲田大卒で社会科、武蔵の前校長の梶取弘昌氏は東京藝術大声楽科卒で、いずれも母校教員から校長になっている。たまたま現在は東大卒が並んだだけかもしれない。もっとも、この前校長は両名ともOBである。過去にさかのぼればいろいろあるが、そこは最近の男子御三家ならではなのだろう。

 2020年に就任した開成の野水勉校長は、前校長で論客でもある柳沢幸雄氏(現・北鎌倉女子学園学園長)同様、東京大、ハーバード大と経歴を同じくしている。野水校長の前職は名古屋大学教授。工学部と兼ねる形で国際教育交流センターの副センター長も担っており、海外大学直接進学など開成の国際化は引き続き活発に行われることになりそうだ。

 2019年就任の武蔵の杉山剛士校長は、埼玉県立高校教員と教育委員会を経て母校に戻った。最後の赴任校が県立浦和高校で、公立トップ校の実情をよく知る。麻布の平秀明校長は母校の数学科教員を長く務めたプロパータイプでもある。

 この点、女子の御三家はそれぞれユニークだ。桜蔭の齊藤由紀子校長は同校OGで、この学校とゆかりのあるお茶の水女子大から母校の国語科教員となった。教頭を経ての就任というプロパータイプだ。

 他の2校、雙葉と女子学院はキリスト教主義の学校で、少し様相が異なる。