送検のため京都府警・中京署を出る大久保愉一容疑者(中央奥)を乗せた車(7月24日撮影) Photo:JIJI送検のため京都府警・中京署を出る大久保愉一容疑者(中央奥)を乗せた車(7月24日撮影) Photo:JIJI

年配の読者なら、故・手塚治虫氏の代表的作品「ブラック・ジャック」に登場するドクター・キリコを思い浮かべた方も多いのではないだろうか。京都府警捜査1課は23日、難病に指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に薬物を投与して死亡させたとして、医師2人を嘱託殺人の疑いで逮捕した。この事件は、医師が依頼されて報酬を受け取り、苦痛を伴わずに患者を死に至らしめる「安楽死」だったとされる。過去にも終末期医療などを巡る同様の事件が明るみになり、そのたびに「治療か尊厳死か」が取り沙汰されるが、ほとんど議論されることはなく、法整備も進まないのが現状だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

安楽死の報酬は130万円

 逮捕・送検されたのは、ともに医師でクリニックを経営する仙台市泉区の大久保愉一容疑者(42)と、東京都港区の山本直樹容疑者(43)。

 逮捕容疑は共謀して昨年11月30日午後5時半ごろ、ALS患者の林優里さん(当時51)に依頼され、京都市中京区にある林さんの自宅マンションで致死量の薬物を投与して殺害した疑い。

 全国紙社会部デスクによると、林さんは2011年、ALSを発症。18年4月にツイッターアカウントを開設し、同年12月ごろに大久保容疑者とやりとりが始まった。