Go To トラベル見切り発車で問題だらけ Photo:JIJI

 遂にGo Toトラベルが始まってしまいました。メディアでは連日、見切り発車で始めたことによる混乱や、事務局が8月まで設立されないといった問題点が盛んに報道されています。

 しかし、それら報道されている内容はあくまで表面的な問題に過ぎないと思います。最大の問題点は、政府が感染防止と経済活動の両立を実現できていない中で、経済活動に偏る政策を始めてしまったことではないでしょうか。

Go Toトラベルの混乱の本当の原因

 しかし、Go Toトラベルが表面的にも酷すぎることは事実です。私は政策立案の世界に、もう35年くらい関わっていますが、これだけ話にならないレベルでの準備不足のまま見切り発車した政策は記憶にありません。

 ではどうしてそんな醜態を晒すことになったかというと、持続化給付金の事務局の民間委託を巡る混乱が尾を引いているとしか思えません。

 もともとGo Toトラベルの予算は、官邸(とその背後にいる経済産業省)主導の下で、第1次補正予算に計上されました。経産省は、持続化給付金の時と同様に、自らが差配して他の2つのGo Toキャンペーンと一緒に、民間に事務局を委託して事業を進めようと考えていたはずです。

 ところが、持続化給付金の事務局を巡る騒ぎの煽りを受けて、Go Toトラベルは観光業を所管する国交省が急遽担うことになりました。国交省からすれば、自らが積極的に予算化したというより、官邸主導で決まった政策の尻拭いを突然押し付けられたようなものですから、そりゃ“やらされ感”たっぷりになって動きも鈍くなります。

 加えて、8月から実施予定だったのが、天の声(=自民党)で7月の4連休からに前倒しでやれと言われたら、大混乱となって当然です。

 従って、私は、国交省はむしろ被害者でかわいそうな面もあると思っています。それよりも本件でもっと非難されるべきは、Go Toトラベルは国交省が担当なので自分たちは無関係であるかのように振る舞う西村大臣、そして発案者である官邸と経産省だと思います。責任逃れも甚だしいのではないでしょうか。