子どもと遊び写真はイメージです Photo:PIXTA

 あえてコロナ禍の“良かった探し”をしてみよう。案外「子どもと過ごす時間が増えた」ではないだろうか。

 思いがけず乳幼児期のわが子と接する時間が増えた男性は、これからの子育てにも好ましい影響があるだろう。

 発達心理学の専門誌に掲載された英ケンブリッジ大学とデンマーク・レゴ財団の共同研究によれば、0~3歳の乳幼児期に父親とよく遊んだ子どもは、自制心が発達しやすいという。

 研究グループは過去40年間に報告された436本の調査研究から、さらに78本を厳選して父親が子どもと遊ぶ際の傾向と影響についてレビューを行った。

 その結果、父親はほぼ毎日のように子どもと遊び(時間は短いが)、赤ちゃんのうちは「高い高い」や膝の上でジャンプ、歩き始めると鬼ごっこやくすぐりっこなど、一緒に転げ回るような「荒っぽい」遊びを好むことが判明した。

 その一方で、父親が遊ぶ頻度は乳幼児期~就学前は増加するが、就学後は徐々に減少することがわかった。子どもの世界が広がっていく大切な時期なのだから、本来であれば父親の関与がもう少しほしいところだ。

 さて、遊びの成果をみると父親と身体を使った遊びを十分に体験した子どもは、成長後も攻撃的な感情のコントロールがうまく、衝動性や多動性などの問題行動を示す可能性が低かった。友達と意見の相違があった場合も、暴力に訴える傾向が低かったという。

 父親が好む身体的な遊びは度が過ぎると痛い目に遭う。そのため、自制と社会性を学ぶには良い機会になるらしい。

 ちなみに、母親は総じて「ごっこ遊び」や「読み聞かせ」を通じ、認知能力や問題解決に必要なスキルの習得に寄与している。

 子どもには情緒的な刺激と身体的な刺激の双方が不可欠だ。父親の育休も子どもの発達を支える大切な要素だし、父子/母子を問わず、一人親家庭なら互いの遊び方をうまく取り入れるといいだろう。 研究者は「子どもが小さいうちに親子で思いっ切り遊べる社会的な仕組み作りを」と提言している。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)