自分の繊細さを大事にすると、どんどん元気になる
──今お話を伺っていて、自分にも思い当たる部分がたくさんありました。自分らしい生き方を見つけるためには、やはり自分の「繊細な気質」を自覚することが大事なんでしょうか。
武田 自覚することは、自分を活かす第一歩になりますね。知らないままだと、自分に対して批判的になってしまうんです。世の中では、ストレスに強く見える人が求められがちですから、HSPという概念を知らないと、「自分が弱いんだ」「気にしすぎなのがいけないんだ」など、自分の性格や努力の問題にしてしまいがちです。
でも、「繊細な気質」というものがあると知ると、「自分がおかしいわけじゃなかった」と気付けます。「努力の問題」ではなく「もしかしたらこの職場や仕事が合わないのかもしれない」と、マッチングの問題に視点が切り替わる。そうすると、自分を変えていこうじゃなくて、「私は私だから、だったらどんな環境が合うのかな?」と、自分を活かす方に進んでいけるんです。
──たしかに、自分の特徴を知らずにいると、自分の努力が足りないだけ、と思ってしまいますよね……。
武田 自分のせいだと思っているうちは、どこに行っても一緒なんじゃないかと思えて、動けないものです。私自身は、会社を休職したとき、ストレスに耐えられない自分が悪いんだと思ったんですよ。休職者が何人も出るような過酷な職場だったんですが、それでもそこで働けている人たちがいる限り、耐えられない自分が悪いんだ、と。
ところが、繊細な気質を知ると、「ストレスに耐え続ける」という方針がそもそも間違っていたんじゃないかと思うようになって。耐えられない自分を責めていたんですが、周りの人たちとは感じているストレスの量も強さもおそらく違ったんですね。だから、ここは自分に合う職場なのかっていうのを、そのとき初めて考えられるようになりましたね。
カウンセリングを通してわかったことですが、繊細さんは、繊細さを大切にすることで、どんどん元気になっていきます。繊細さんの素敵なところをたくさん知って、「自分の本音」に目を向けることで、幸せな時間がふえていきますよ。
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『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』のなかでも、「幸せをふやすポイントは、『成果主義から一歩外に出る』」ことだと武田先生は語られている。
成果は客観の世界、幸せは主観の世界にあるもの。
この2つは性質がちがうとお伝えしました。
もしかしたら、
「自分の幸せを大切にすると、成果が出せなくなってしまうのでは?」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、成果と幸せはトレードオフの関係ではありません。
おもしろいことに、自分の幸せを大切にすることで、むしろ成果も大きくなっていきます。
(序章 繊細さんってどんな人? より)
繊細さんだからこそ手に入れられる幸せがある──。
聞き手を担当させていただいた私自身も実は「繊細さん」なのだが、本書を読み終えたあとは、「むしろ繊細さんでよかった!」と思えるまでになった。『「繊細さん」の幸せリスト』を実践するなかで、世の中の見え方が少しずつ変わっていくのを実感している。
普通の人が気がつかないようなことを敏感に察知するあなただからこそ、手に入れられる幸せの形がある。
もしかしたらこの本を手に取ることが、自分らしい幸せを見つけるための第一歩になるかもしれない。
【大好評連載】
第1回 HSP専門カウンセラーが教える「繊細さんが幸せをみつけるため」のブレイクスルー
第2回 「繊細さん」がアウトプットしたくなるのは、人生の転機の前兆?
第3回 HSP専門カウンセラーが語る「繊細さんの幸せの鍵」とは
第4回 繊細さはひといちばい幸せを感じられる気質