MBAをざっと学べる翻訳新刊書『ザ・ビジュアルMBA』には、監訳者の星野リゾート代表、星野佳路さんからの、全20章のテーマに関する実践的ワンポイントレッスンが掲載されています。今回はその中から第13章「判断と意思決定」に関するレッスンをご紹介。書籍には紙幅の関係で短縮バージョンで掲載されましたが、ここでは最初に星野さんが書いてくださった全文を掲載します。

星野佳路(ほしの よしはる)
株式会社星野リゾート代表
1960年長野県軽井沢生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士を修了。帰国後、91年に先代の跡を継いで星野温泉旅館(現星野リゾート)代表に就任。以後、経営破綻したリゾートホテルや温泉旅館の再⽣に取り組みつつ、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」などの施設を運営する“リゾートの革命児”。

経営はアートなのか、スキルなのか――それは、永遠の課題である。

「アート」のように独創性が問われるのか、あるいは必要な「スキル」さえ磨けば誰でもできるのか。

アートだけで大成功した経営者も多くいて、MBAの理論とスキルを理解していながら失敗したケースも多々ある。

だから両方必要だ、という理屈が一般的になりがちであるが、私自身は、アートの部分をできるだけなくしていくことが、経営の質の持続性につながると考えている。

では問いを変えて、経営者の差はどこから生まれるのか。

それは、問題認識の捉え方、企業将来像の設定、社会的使命感の持ち方など、トップの総合的な価値観の違いから生まれる。

あるプロジェクトに直面し、そこに投資すべきか止めるべきかの判断に迫られたとする。理論的にはそのプロジェクトのリスクとリターンで判断されるだろう。

しかし、そのプロジェクトが企業がみずから設定している将来像に辿り着くために必要ならば、どんなにリスクがあっても越えなければいけない山なのかもしれない。

一見、風変わりな意思決定をする企業は、アートな気質ゆえだと思われがちだが、必ずしもそうとは限らない。

トレードオフ(何を犠牲にしようか)を考えるとき、ミッションやビジョンによって、その決定に差が生まれるのである。

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ほかの19章についても、同様に星野さんからのワンポイントレッスンがついています。ご興味のある方はぜひ、『ザ・ビジュアルMBA』をチェックしてみてください!