メーカーはほとんど時限爆弾を抱えて生きているようなものだろう。だいたい10年もすれば、技術というのは多くのものが更新され、ユーザーも時代遅れになったものを捨てるはずである。これまでは、エンジニアはそう考えて10年を目安に家電や自動車を作ってきた。

「○年経ったら機械は“自殺”する」といったシンプルなルールを設定したほうが、物事がうまく回るケースも多いのだ。最近の機械は、コンピューター制御されているのだから、10年経ったら、安全を考慮したうえで、自分で過電流を流して回路を切るくらいの機能があっていいのである。

殺人事件発生――
理系の探偵ならこう解決する

 たとえば、殺人事件が起こったとする。

 どうして殺人事件が起こったのか――つまり「Why(なぜ?)」で問いかけていくと、その答えには無限に近いパターンがあることに気づく。

 被害者と犯人の間には、愛憎のもつれを生むような隠された人間関係があったのかもしれない。犯人は幼少期のトラウマを抱えているのかもしれない。ひょっとしたら何世代も前にさかのぼる復讐劇があったのかもしれない……。

 文系的な探偵なら、おそらくは過去をさかのぼり、隠された動機を探って犯人を割り出すのだろう。

 ところが理系の探偵は、そうは考えない気がする。もっとシンプルだろう。

 同じ人間だから、過去の事件と似たようなことを繰り返しているはずと考える。たとえば殺害理由にはパターンがあって、「突発的な怒りの感情」「過去の恨み」「金銭を得るため」がそれぞれ何%ずつとデータ分析しておく。

 そのうえで事件の構造と、殺害理由のパターンが一致しそうな可能性を当てはめ、犯人を推定する。今流行のビッグデータに、世界中の殺人事件記録を入力しておけば、必ず類似度100%のパターンが検出されるはずである。

 なんだ、刑事ドラマと同じではないか、と思うかもしれないが、私ならまずは犯人を仮決めせずにデータを片っ端から集めてコンピューターで自然言語処理をする。現代の警察も、殺人現場に残されたDNAや容疑者のDNAを数十万、データベースに取り込んだり、被害者のスマホの通信履歴や現場近辺の防犯カメラの映像を徹底的に調べたりするそうだから、かなり理系的である。