保護貿易、国内回帰に一転
「自国利益優先」はDNA

 だがこうした流れに急ブレーキをかけたのが、トランプ大統領だ。

 グローバル化でIT企業や一部の層が巨万の富を手にした一方で、中国などからの輸入品の流入や生産のアウトソーシングで、仕事を失ったり賃金が上がらなくなったりしたことへの不満や不安が米国民の中で高まった。

 トランプ氏は、2016年の大統領選で「アメリカファースト」を選挙公約にして白人工場労働者の支持を得て当選すると、メキシコ国境沿いに壁を築いて移民の流入を排除、関税を引き上げ、保護貿易主義に転じた。

 とりわけ中国に対しては、制裁関税や米農産物の輸入拡大を求めて貿易戦争を仕掛け、さらにはファーウェイなどの中国企業締め出しによる「デカップリング戦略」(中国の引き離し)を進めてきた。

 コロナ問題でも、中国がコロナの発生を隠したと中国の責任を追及し、生産の国内回帰を進め、自国主義(ナショナリズム)を加速している。

 他方で同盟国に対しても、制裁関税をちらつかせて貿易不均衡是正や米国への投資を求める、自国利害を露骨な形で追求している。

 米国の対外政策の第1の特色として、歴史的に、自国主義、モンロー主義、孤立主義があり、これは米国のDNAともいえる。

 自国の利益にならないと判断すれば、国際協調から離脱することが多い。

 例えば、1920年、米国が提唱して作った国際連盟に参加しなかった。97年には、地球温暖化を防止するための京都議定書に米国は強引に日本を参加させたが、自らは参加しなかった。

 そしてトランプ政権では、2017年、地球温暖化に関するパリ協定から離脱し、またオバマ大統領が日本に参加を強く求めたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)にも参加しなかった。

 今回のコロナ問題でもWHO(世界保健機関)は中国寄りであるとして脱退を宣言した。

 第2の特色は、「自由貿易」と「公正貿易」を使い分けることだ。

 米国は、自由に競争すれば米国が勝つはずと考えており、米国が貿易で負けるのは相手国が不公正だからと考える。不公正や国防を理由に、時に国際ルールを無視して制裁・報復措置を導入する。

 この使い分けは、世界市場を席巻するGAFAに対する国際的な規制強化の取り組みへの消極姿勢などにも表れている。