「小汚さがかっこいい」
おしゃれさんの奇天烈マイバッグ

 Bさん(45歳男性)は万年金欠気味だが、それがかっこよさになっているくらい雰囲気のある人物である。ファッションは古着中心で、流行には毛頭こびることなく典型やカテゴリーを追っているわけでもないのだが、共感性をギリギリ残し、そこにまねできそうにない独自性があって、見れば見るほど「この人はおしゃれだな」と感じさせられる。あえてジャンルを言うならグランジやパンク、ハードコアあたりに属しそうなおしゃれさんである。
 
 金欠のBさんは当然レジ袋代を節約したい。7月1日以降マイバッグを持ち歩くようになったのだが、筆者が目撃したその愛用の一品が奇天烈(きてれつ)であった。
 
 当初Bさんは、レジ袋をマイバッグとして使っていたそうだ。
 
「コンビニでもらっていた大きめのレジ袋を繰り返し使っていた。丸めておけばポケットに収まるし、わりと使い勝手がよかった」(Bさん)
 
 レジ袋であるから耐久性は当然低い。すぐに各所に穴が開いた。Bさんは粘着テープで穴を塞ぎ、その1枚を大事に大事に使った。新たな穴ももちろんテープで埋める。そのうち袋全体が粘着テープまみれになってきた。
 
「小汚さにだんだんと愛着が湧いてきていた。レジ袋が直接汚れていると不潔な感じで汚いが、テープだらけのレジ袋は、不潔感はあまりなくて、ただ“小汚い”。愛すべき小汚さがあった。

 そのうち白より茶色の面積の方が多くなってきてひらめいた。いっそ全体をテープで覆ってしまおう、と」(Bさん)
 
 悪魔の着想であり、これを得た時のBさんの胸の高鳴りは推して知るべしである。凡人には「やめた方がいい」としか思えないアイデアだが、おしゃれなBさんが考え出したものと思えば「そういう方向性もアリなのか…」と妙に納得させられるような不思議さがあった。
 
 作るからにはしっかりした物を、ということで、Bさんは素材選びに余念がなく、少しお高めになるが、紙でなく布の粘着テープを選択した。これをレジ袋にとぐろ状に巻いていき、完成したのが布テ―プを全身にまとった、レジ袋出身のマイバッグである。Bさんが持つとやはり意外にしっくりしたアイテムとなって、一見しただけでは素材が粘着テープには思えない(よくよく見ると判然とする)。筆者が目撃したのはこれであった。中をのぞくと、内部もきれいにテープが貼ってあって、耐久性も申し分なさそうである。
 
「使ううちに傷んできて、テープの端に汚れがついて黒くなってきたりしたので、新しい物を作り直した。今使っているのが2代目で、ステッカーを貼りペイントを施し、テープでできているものとは思えないくらい良い感じで、いたく気に入っている」(Bさん)
 
 レジ袋の購入に1枚数円を要求されることには我慢ならないが、オリジナルのマイバッグを作るための出費(粘着テープ代)は喜んでかぶる。自分流のファッションを貫く人は「金をかけたいところ、かけたくないところ」のラインが非常にはっきりしているようである。