来年度の受験はどうなる?
おおた 来年の受験に関しては、受験勉強の仕上がり方に、例年以上に差が出るでしょうね。超難関校は、コロナがあってもなくても勉強する子たちなので変わらないかもしれませんが、中堅校以下に関しては、受験者の学力の幅が広がる可能性がありますね。もちろん“受験勉強の仕上がり”という意味においてですが。
学力以外の家庭環境などに左右される面も、例年以上に大きくなるでしょうし‥‥‥。
野田 大手の模擬試験も、例年のように会場での受験ではなく、自宅受験に切り替えているところも多い。環境もばらつく上にズルをしようと思えばできますから、模擬試験の偏差値などの精度も落ちていますよね。
おおた さらに、中学側もどういう風に入試を実施するのか、まだ見えてないところが多い。もし入試時期にコロナの流行期が重なってしまったらやむを得ず入試日をずらすところも出てくるだろうし、受験日を複数設けていたところが受験回数を絞ったり、また、受験会場をいくつかに分けたりとか、いろいろな動きがでてくるでしょうね。そうすると受験生の流れが変わってきますし、ますます読みにくくなるのは確実ですね。
野田 そんな中で、親がいかに泰然自若としていられるかが問われますね。
おおた 第二回で話した「大学付属校ブーム」は、今回のコロナ禍がますます追い風になると思います。大学入試も混乱しているし、先が見えない時には、付属校を選ぶ人は多くなるんじゃないかな。
そもそも、大学入試改革も二転三転して、子どもたちは散々振り回されっぱなしですし、だったら、行きたい学部があるところの中学に早く入ったほうがいいよね、っていう思考になるのは自然ですよね。個人的には、損得勘定で教育を決めるのもいかがなものかとは思いますが。
野田 本当に、振り回されっぱなしの子どもたちは一番の被害者です。大学附属校は、子どもたちが外部環境に振り回されずに勉強ができるというだけでも、大きなメリットだと思います。しかも、第二回でも話したように、受験においても、進学校より努力が実を結びやすくて「普通の子」が合格できる。大学付属校人気は今後もますます、加熱するでしょうね。