これからの理想のリーダーは
「安心感」「信頼感」がカギに

――近年の新入社員には、「素直さ」以外にどのような特徴がありますか?

 下の図は、当社が新入社員を対象に行った調査において、「理想の職場」と「理想の上司」がこの10年でどう変化したのかを示したものです。

「理想の職場」と「理想の上司」がこの10年でどう変化したのか
出典:リクルートマネジメントソリューションズ
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 例えば、理想の職場では「お互いに助け合う」が10年で20%上がっている一方、理想の上司では「言うべきことは言い、厳しく指導すること」が18.7%も下がっています。昨今の新入社員は、トップダウンや管理型のリーダーに周りがついていく職場より、現場のメンバーの一人ひとりの個性や多様性を尊重しながら仕事をする職場、そして叱咤(しった)激励・情熱型の上司よりも、支援・サポートしてくれる伴走型の上司を望んでいます。

 つまり、みんなで争うのではなく、みんなで助け合いながら仕事をするコラボレーションスタイルを望んでいるという特徴があるようです。

――テレワーク下でも新入社員を成長させるポイントをお教えください。

 近年の新入社員が抱えている悩みのトップ3は、「想定以上にできない自分にショックを受け、自信を喪失した」「周りにどう思われているかが不安で、自分を出せなかった」「与えられた仕事の意味ややりがいが感じられず、やる気が出なかった」です。

 このことから、上司や先輩が彼らの能力を最大限引き出すためのキーワードは「安心感」と「信頼感」になります。

 現在の新入社員は、やる気や能力を十分備えています。ただし、今の日本社会は、彼らが学生時代までに経験してきた、多様性があり自由にコラボレーションできるような新しい価値観に比べて、古い価値観が残っており、彼らはそれに対する不安と恐れを持っています。

 そんな彼らに対して、「新人だから組織に合わせろ」と強制すると、実力は出てきません。そんな彼らの力を発揮するのを邪魔する不安と恐れを取っ払うマネジメントが、安心感と信頼感なのです。