約10年の追跡期間中に、参加者のほぼ半数が高血圧、脂質異常症、高血糖を発症した。これらの検査値異常の組み合わせは、心疾患ハイリスク状態として知られている。
より健康的な植物性食品を摂取していた群は、基準値内の検査値を維持している人の割合が高かった。健康的な植物性食品とは、全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、オリーブオイル、コーヒーなどであり、未加工食品が多く含まれていた。一方、あまり健康的と言えない植物性食品を摂取していた群は、検査値異常のある人の割合が高かった。健康的でない植物性食品とは、果汁飲料、加糖飲料、精製穀物(白パンやパスタなど)、ジャガイモなどであり、また、あらゆるタイプの菓子の摂取も検査値異常と関連していた。
性別に検討すると、男性よりも女性において、より明確な関連が認められた。Kouvari氏は、「これまでの研究では、女性は男性よりも植物性食品を多く摂取し、動物性食品の摂取量は少ないことが報告されている。しかし、そのような食事スタイルが、必ずしも健康的な食品の選択を保証するものではなく、健康状態の改善につながるとは言い切れないことが示唆された」と述べている。
同氏によると、従来の食事研究のほとんどは、単に菜食または肉類の摂取量が少ない食生活を「植物性食品ベースの食事スタイル」と定義しており、植物性食品は全て同質と見なされていたという。これに対して同氏は、本研究によって「ひと口に植物性食品と言っても幅があり、栄養の質の違いが浮き彫りになった」としている。
米レノックス・ヒル病院で肥満改善指導を行っているSharon Zarabi氏は、肉類を減らすだけでは健康は保証されないという今回の報告に同意を示している。「ベジタリアンとして肉類を避けることで、高度に加工された炭水化物をより多く摂取する可能性もある。そのような場合、インスリンレベルが上昇し減量は難しくなる」と同氏は指摘。ナッツや魚介類、卵などから適度なタンパク質を摂取し、炭水化物の過剰摂取を避けるという具体的なアドバイスとともに、「どのような食事スタイルであれ、ポイントはそれが持続可能で楽しいと感じられることが重要」と述べている。
なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2020年8月27日)
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