公的年金は「公助」ではなく「共助」
共助と公助の違いとは?

 公的年金が「公助」だと勘違いしている人もいるが、それは少し違う。「公助」というのは、そういった助け合いの仕組みからも漏れてしまった人たちを最後に救うための手段であり、言わばセーフティーネットの役割である。1つの例を挙げれば「生活保護制度」などがこれにあたる。「共助」である公的年金制度は、そのメリットを享受する人たちが互いにその費用を負担し合うのが基本である。すなわち公的年金の本質は「保険」であるから、保険料を払った人だけが年金を受給する権利があるのが当然なのだ。よく言われるのは「公的年金」の役割は“防貧”、すなわち年をとって働けなくなった時に収入がなくなって貧困に陥ることを防ぐのが最大の目的であるとされる。

 これに対して生活保護などの「公助」は言わば最後の砦であり、その重要な役割は“救貧”すなわち貧困に陥ってしまった人たちを救うことにある。生活保護の原資は保険料ではなく税金である。最初から生活保護を受けることを目的にしている人などいないわけであるから、保険料などというものが存在しないのは当然だ。何らかの理由で保険料も払えず、公的年金が支給されなくなってしまった人を救うには当然、国民全体で負担している税でまかなうのが自然な姿であろう。

「老後の生活保障」の観点では
一番の基本は「共助」である

 したがって、「老後の生活を支える」という目的を考えると、現在の社会において、一番の基本は「共助」ということになる。昔、「共助」が無かった時代は「互助」(子供や家族、親族が支える)が中心だったが、社会構造の変化と共に「共助」がその役割の中心を担うことになったと言えるだろう。これは年金だけでは無い。介護も昔は家族の経済的負担が大きい「互助」が中心だったが、次第にそれが困難となってきたので、2000年に「介護保険」が誕生したのである。

 現在はもはや「互助」という機能はごく限定的となっているため「自助・共助・公助」と言い換えても差し支えないと思う。あくまでも土台となるのは制度的には「共助」であるが、それ以上に自分で豊かな老後をおくりたいと考えるのであれば「自助」によって資産形成をすれば良いし、仮に共助の枠組みから外れてしまう人に対してはセーフティーネットである「公助」が起動し始めるというのが社会保障全体の仕組みなのである。したがって「自助・共助・公助」を社会保障の面に限って言えば、ど真ん中に「共助」が来て、その両脇を残りの2つが支えるという構図となろう。